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放射線治療と免疫療法併用への期待-③
院長ブログ

投稿日:2025年1月8日

更新日:2025年1月8日

これまで2回のブログで、放射線治療のアブスコパル効果や免疫療法との併用について述べてきました。
放射線治療と免疫療法併用への期待-①
放射線治療と免疫療法併用への期待-②
最終回の今回は、効率よく免疫応答を誘導する放射線照射についてお話したいと思います。

低い照射線量が免疫応答を誘導する?

最近、低照射線量が免疫誘導に有利に働くことを示す興味深い論文が掲載されました。
Intratumoral radiation dose heterogeneity augments antitumor immunity in mice and primes responses to checkpoint blockade
(腫瘍内照射による線量の不均一性が免疫チェックポイント阻害薬に対する感受性を高める)

この論文は、小線源による放射線治療は腫瘍組織内の照射線量が不均一になりますが、低線量の照射部位が存在することにより、免疫応答が誘導されやすくなることをマウスの実験で示したものです。

以下は論文の概要の和訳です。

放射線治療は、その線量に応じて多様な免疫学的効果を腫瘍内で起こします。腫瘍内の線量が均一となる外照射とは異なり、小線源照射による腫瘍内照射は腫瘍内の線量が不均一となります。
マウスにおいて、腫瘍に小線源を使用して2~30グレイの不均一な照射を行いました。免疫チェックポイント阻害薬と組み合わせると、小線源による不均一な照射は、外照射による均一な照射よりも、照射していない転移巣に対してもっとも強い抗腫瘍効果が生じました。抗腫瘍効果の誘導には、CD4+T細胞、 CD8+ T細胞(ヘルパーT細胞、キラーT細胞)と、腫瘍の一部への低用量の照射が必要でした。照射3日後には、腫瘍内の照射線量の不均一性のために、腫瘍内の免疫関連遺伝子が発現。抗原提示および免疫系への腫瘍細胞の感受性の部位による差異が刻み込まれました。10日後には高用量、中用量、低用量の線量の領域ごとに、浸潤している免疫細胞集団がはっきり異なっていました。これは、循環 しているCD8+ T 細胞におけるエフェクター関連サイトカインの発現の増加と関連していました。獲得免疫応答の促進と一致して、不均一な照射はCD8+T細胞のクローン増殖を促しました。
これらの知見は、腫瘍内における線量に依存した効果の幅広さと、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた場合の不均一な照射の抗腫瘍免疫を促進する能力を明らかにしています。
この概要は少々専門用語が多く読みにくいと思います。こちらのサイトにわかりやすく解説されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください
この論文は、放射線治療により全身的な免疫誘導、活性化を目的とした場合、低い照射線量が有利に働くことを示した研究と言えます。

※2024年9月にScience Translational Medicineに掲載されました

低照射量の放射線治療と瀬田クリニックの免疫細胞治療

私たちも低い照射量の放射線治療を併用することで、よい結果が得られたケースをいくつか経験しています。今回はその中から2例ご紹介します。

1.「少線量放射線治療後に免疫細胞療法を併用し完全寛解(CR)が得られた 悪性リンパ腫

【治療までの経緯】

骨破壊を伴う悪性リンパ腫(びまん性大細胞B 細胞型)に対して、局所放射線治療単独で治療が開始されました。しかし照射は疼痛のため本人の希望にて中止され、僅か10Gyで照射終了となりました。その後、当院の免疫細胞療法を希望し来院。

【治療内容と経過】

当院ではアルファ・ベータT細胞療法を約2週間に1回の間隔で開始し、1クール(計6回)が終了。その後に効果判定のためのCTとFDG-PETを行ったところ、治療前のFDG-PETにて、治療前に認められた右下歯肉部の異常集積は全く見られませんでした。CTでも腫瘍性病変は完全に消失し、完全寛解(CR)と判定されました。本例は低線量の放射線治療の併用を意図したものではなく、副作用のため、僅か10Gyという低線量しか行えなかったケースです。

2.「ゲムシタビン、少線量放射線に併用した活性化自己リンパ球療法(CD3-LAK法)が有効であった切除不能膵がん

本例は切除不能膵がんに対して、ゲムシタビンと免疫細胞療法の治療に意図的に1回、0.5Gyという低線量の放射線照射を週に4日併用したケースです。(※)。

【治療までの経緯】

放射線治療(50Gy)後に、ゲムシタビンの3週連続投薬、1週休薬という治療が開始されました。、一時、やや縮小を観察されましたが、副作用のため隔週でのゲムシタビンに変更しました。それでもCA19-9が徐々に上昇を続けたところで当院を受診されました。

【治療内容と経過】

ゲムシタビンに当院の免疫細胞療法(アルファ・ベータT細胞療法)を併用して治療を2回行った後にCA19-9は低下を観察しましたが、その後、反跳に転じました。すでに50Gyの放射線療法を受けていましたが、限界耐容線量を70Gyとすると、さらに20Gyの照射が可能と判断し、週4日、連日0.5Gyを照射しました。そのうえで免疫療法を開始したところ、上昇傾向にあったCA19-9は低下、減少を続けました。

※Biotherapy誌にケースレポートとして掲載されています(加藤昭他、切除不能膵癌にgemcitabine・少線量放射線・CD3‐LAKによる集学的治療が有効であった1例 Biotherapy 20(1): 87-90、2006)

まとめ

今回、3回にわたって放射線治療と免疫療法の併用についてお話しました。
放射線治療による免疫の活性化をどうしたら強く誘導できるか、あるいは放射線治療と免疫療法をどのように併用するべきか、今後、様々なアイデアが登場し、臨床試験が行われていくものと思います。これはまったく新たながん治療法の登場と比べて、既に行われている治療法の工夫と組み合わせですので、完成までの時間はずっと短く済むと思われます。

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◆院長ブログバックナンバー
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-がん治療の効果の矛盾―③
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