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瀬田クリニックグループの
樹状細胞ワクチンDendritic Cell Vaccine
樹状細胞ワクチン療法

樹状細胞ワクチン樹状細胞ワクチンは、樹状細胞の力を利用して、がん細胞のみを狙って攻撃する免疫細胞( キラーT細胞) を増殖させる治療法です。

当院では独自の技術としてゾレドロン酸感作法を用いています。これにより、がんの目印(抗原)の取り込み能力や、がん細胞を直接攻撃するキラーT 細胞の誘導能力を従来より飛躍的に向上させることに成功しています。

また、2014年よりWT1ペプチベータ「MACSRGMPPepTivatorRWT1」(以下、「WT1ペプチベータ」)、2019年よりネオアンチゲン(がん変異抗原)樹状細胞ワクチンを用いた治療を提供しており、より多くの方に樹状細胞ワクチンをお受けいただけるようになりました。

樹状細胞ワクチン

目次

樹状細胞ワクチンとは

樹状細胞ワクチンとは

「樹状細胞」は細胞の表面に木の枝のような突起があることが名前の由来で、樹状細胞の研究者ラルフ・スタインマン博士が、2011年にノーベル賞を受賞したことでも知られています。

樹状細胞自体はがん細胞を殺す能力を持っていませんが、がん細胞を殺す能力のあるキラーT細胞にがんの目印(抗原)を伝えて攻撃の指示を与える、いわばがん攻撃の「司令塔的」な役割を担います。

樹状細胞からがん細胞の目印を伝えられたキラーT細胞は、体内でがん細胞を狙い撃ちにして効率よく攻撃できるようになります。

<樹状細胞ワクチンの流れ>

  • 1.患者さんの血液成分から樹状細胞を誘導します。
  • 2.患者さんのがん組織等から得られたがんの目印(抗原)を体外で樹状細胞に取り込ませ、記憶させます。
    (ご自身のがん組織が用意できない場合は、人工抗原ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン等が実施できます)
  • 3.がんの目印を記憶した樹状細胞を再び体内に戻します。
  • 4.樹状細胞が、体内のキラーT細胞にがんの目印を伝え、攻撃目標を覚えたキラーT細胞が効率よくがん細胞を殺傷します。

当院の独自技術について

治療効果向上が期待できる、当院の独自技術について紹介します。

がんを攻撃するキラーT 細胞の誘導能力が60~100倍に向上ゾレドロン酸共感作法

樹状細胞にがん抗原を取り込ませる際に、ゾレドロン酸を使用して刺激することで、樹状細胞の能力が更に向上します。個人差はありますが、使用しない場合と比べがん細胞を殺すキラーT細胞(CTL)を60~100倍多く誘導することが確認されています 詳しく

technology_img03-1樹状細胞に抗原を取り込ませる際に、骨吸収抑制剤として用いられるゾレドロン酸を利用すると、ゾレドロン酸を使わずがん抗原のみを感作させて培養した場合に比べて、最適条件下でキラーT細胞が約100倍増加することが確認されています。
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樹状細胞ワクチンの種類

樹状細胞に取り込ませるものや樹状細胞の投与方法によって3つの種類に分けられます。実際の治療では、患者さんの状況に応じて最適な方法を選択し治療を行います。

1.ご自身のがん細胞が用意頂ける場合

自己がん細胞感作樹状細胞ワクチン 詳しく

手術などで摘出した患者さん自身のがん組織から調製したがんの目印(がん抗原)を利用する治療法です。患者さん自身のがん細胞には様々ながん抗原が含まれているので、複数のがん抗原に対してキラーT細胞を増やすことができます。自己がん細胞感作樹状細胞ワクチンまた、患者さん自身のがん細胞を冷凍保存してお預かりし、樹状細胞ワクチンに活用することも可能です。詳しくは自己がん組織バンクサービスのホームページをご覧ください。
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2.ご自身のがん細胞が用意できない場合

ペプチド感作樹状細胞ワクチン 詳しく

人工的に作製した抗原ペプチドを樹状細胞にがんの目印として取り込ませる治療法です。当院では、患者さんのがんの種類や白血球の型(HLA)に合わせて、WT1、MUC-1、MART-1、MAGE-A3、PAP、NY-ESO-1などの様々な人工抗原ペプチドを使用しています。WT1を用いた樹状細胞ワクチンについてはこちらをご参照ください。ペプチド感作樹状細胞ワクチン
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3.ご自身のがん細胞が用意できず、また、有用な人工抗原ペプチドも無い場合

腫瘍内局注樹状細胞療法 詳しく

がんの目印(がん抗原)を取りこませる前の未熟樹状細胞を腫瘍内に直接注入(局注)します。手術で取ったがん組織や人工抗原ペプチドが使えない場合でも、身体の中で効率的にがん細胞を取りこませることができます。化学療法や放射線療法であらかじめがん細胞を弱らせておくと、がん抗原が取り込まれやすくなることから、他の治療法とうまく組み合わせることでより高い効果が期待されます。
単独での効果は限定的ですが、化学療法や他の治療と併用することにより高い効果が報告されています。私たちもこれまで局所進行膵がんを対象にした名古屋大学との共同研究において、塩酸ゲムシタビンと腫瘍内局注樹状細胞ワクチンとの併用で良好な成績を得ています。腫瘍内局注樹状細胞ワクチン
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受診前の検査が重要です

樹状細胞ワクチンを受診される際は、以下の検査をお受けになることが重要です。

1.免疫組織化学染色検査

手術や生検などから得られる患者さんのがん組織を調べて、樹状細胞ワクチンが適用になるかどうかを調べる検査です。

樹状細胞ワクチンは患者さんのがん細胞が持っている目印(がん抗原)を標的として、そのがん細胞だけを攻撃する治療法です。しかし、当院の実績では、目印となるがん抗原が提示される”土台”であるMHCクラスⅠ分子が約20%の患者さんのがん細胞から消失あるいは減少していることがわかっています。

免疫組織化学染色検査そのため、まずは患者さんのがん細胞上のMHCクラスⅠ分子の発現有無を調べ、「樹状細胞ワクチンがその患者さんの治療法として適切かどうか」をあらかじめ判断することが重要です。

kensa実際には、がん細胞の表面に出ているMHCクラスⅠを薬剤で染色しその発現度合いを確認します。これが、その結果のサンプルです。
左端の「強発現例」が、MHCクラスⅠが数多く出ている場合で、右端の「消失例」が、全く出ていないものです。
消失している場合は、樹状細胞ワクチンの効果があまり見込めないということになりますので、違う方法でがん細胞を攻撃する治療法を選択することになります(アルファ・ベータT細胞療法ガンマ・デルタT細胞療法など)

また、この検査では「MHCクラスⅠが発現している場合、そこにどのようながんの目印が提示されているか」についても調べます。これは、ペプチド感作による樹状細胞ワクチンを実施する際に必要なチェック項目です。

ペプチド感作による樹状細胞ワクチンは、前述したとおり、自らのがん細胞が入手できない場合に人工のがんの目印(抗原ペプチド)を樹状細胞に覚えこませる治療法です。

人工抗原ペプチドにはWT1、MUC1、NY-ESO-1などいくつもの種類があり、がん細胞にどんな目印が出ているかによって、どの人工抗原ペプチドを使うかを決めます。

よって、例えば、この検査でWT1抗原が発現していないと判明した場合は、WT1による樹状細胞ワクチン治療の効果は望めません

WT1分子が発現していないと判明した場合は、WT1による樹状細胞ワクチン治療の効果は望めません。

樹状細胞ワクチンを実施される際には、このような検査を実施しているかどうかを確認して医療機関を選ぶことをお勧めいたします。免疫組織化学染色検査は、大学病院などの臨床試験では治療の適応を決めるために必ず行われる検査ですが、民間医療機関では必ずしも徹底されているとは言えない状況です。

2.HLA検査

人工抗原ペプチド

前述のペプチド感作による樹状細胞ワクチンを実施する際に必要な検査です。
この治療は、患者さんの樹状細胞の表面に存在する分子(HLA※)に、人工抗原ペプチドを結合させて体内に投与する治療です。しかし、患者さんによってこのHLAの型が異なるため、事前にその型を調べ、型に合う人工抗原ペプチドを選定する必要があります。
(※ヒトのMHCをHLAといいます)

当院では数種類の人工抗原ペプチドを用意していますが、これまでは、血液検査の結果次第では患者さんのHLA型に適応する人工抗原ペプチドがなく、ペプチド感作による樹状細胞ワクチンが実施できないケースもありました。
そこで、当院では2014年よりHLAの型を問わずに治療をお受けいただけるよう、WT1ペプチベータによる治療を開始いたしました。

WT1ペプチベータによる樹状細胞ワクチン

当院では、新たな人工がん抗原(がんの目印)・WT1 ペプチベータを用いた治療(ペプチド感作樹状細胞ワクチン)を2014年より開始致しました。これまでのものと比較して、WT1ペプチベータを用いるメリットは以下のようなものがあります。

どのような白血球の型(HLA型)の患者さんであっても利用可能

WT1ペプチベータを構成するWT1という分子は、様々ながんに発現していることが報告されているタンパク質であり、有望ながん抗原の一つと考えられています。しかし、WT1ペプチドであっても、事前の血液検査の結果、患者さんの白血球の型(HLA型)と合わなければ、がん細胞を直接攻撃するキラーT細胞を誘導することができません。よって、治療を行っても効果は見込めません。

今回導入するWT1ペプチベータは、配列が異なった複数のペプチドの混合物であり、WT1タンパク質の全配列をカバーしています。よって、白血球の型(HLA型)を問わずに、WT1を使ったペプチド感作樹状細胞ワクチンが可能となります。

ペプチドとペプチベータの違い

キラーT細胞とヘルパーT細胞の双方を増やす

WT1ペプチベータは、樹状細胞ワクチンにおいて直接的にがんを殺傷するキラーT細胞に加え、キラーT細胞を増強するヘルパーT細胞も同時に誘導できることが見込まれることから、従来のものよりも高い治療効果が期待できます。

ネオアンチゲン(がん変異抗原)による樹状細胞ワクチン

当院では、ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンの安全性に関する臨床研究において「安全に治療を実施できたことが確認」されたため2019年より、「ネオアンチゲン由来ペプチド感作樹状細胞ワクチンの有効性を検討する研究」を通じて本治療を提供しています。
これまで使用していたオンコアンチゲン(共通抗原)と比較して、ネオアンチゲン(がん変異抗原)を用いるメリットは以下のようなものがあります。

手術や生検などから得られる患者さんのがん組織を用いて遺伝子検査(全エキソン解析)が可能

  • 1.がん組織と正常組織(細胞)からDNA・RNAを抽出し、すべての遺伝子を比較解析し、がん細胞に見られる遺伝子変異を特定。
  • 2.がん細胞の遺伝子変異からネオアンチゲンの抽出・選別。
  • 3.患者さんごとにネオアンチゲン由来のペプチドを合成。
  • 4.ネオアンチゲンを用いた樹状細胞ワクチンを投与。

わずかながら正常細胞にも発現しているオンコアンチゲン(共通抗原)に対しては、強い免疫反応を誘導することは一般に困難でした。しかし、ネオアンチゲンは正常細胞には発現されていないため、強い免疫反応を誘導することが可能で、ネオアンチゲンを利用した樹状細胞は、がん細胞に対して非常に強い攻撃力を引き出すと考えられています。また、当院ではネオアンチゲンを用いた樹状細胞ワクチンの安全性試験を行い、「安全に治療を実施できたことが確認」しています。

自分のがん組織を将来の治療に ―自己がん組織バンクについて

がん組織には、一人ひとりに適した治療法の選択を可能にする様々な情報が含まれています。現在、手術で摘出されたがん組織は主に病理診断に用いられますが、その一部を超低温で数年間冷凍保存し、後々の治療に活用する技術も普及しています。
保存した自らのがん組織を用いて、自らのがん細胞を特異的に攻撃する樹状細胞ワクチンを実施できるほか、がん組織の遺伝子情報を用いる新しい治療に利用できる可能性も広がります。
くわしくは自己がん組織バンクサービスのページをご覧ください。

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  • がん免疫細胞治療について
    がん免疫細胞治療とは、身体のなかでがん細胞などの異物と闘ってくれる免疫細胞を患者さんの血液から取り出し、人工的に数を増やしたり、効率的にがんを攻撃するよう教育してから再び体内へ戻すことで、免疫の力でがんを攻撃する治療法です。この治療は患者さんがもともと体内に有している免疫細胞を培養・加工してがんを攻撃する点から、他の治療のような大きな副作用はなく、また抗がん剤や手術、放射線治療など他の治療と組み合わせて行うこともできます。治療の種類にもよりますが基本的には2週間おきに採血と点滴を繰り返す治療となります。当院では、治療に用いる細胞の違いや培養方法の違いにより、樹状細胞ワクチン、アルファ・ベータT細胞療法、ガンマ・デルタT細胞療法、NK細胞療法の四つの治療法を提供しています。
  • リスク・副作用について
    免疫細胞治療は患者さん自身の免疫細胞を治療に用いるので、軽い発熱、発疹等が見られる場合がありますが、それ以外は重篤な副作用は見られず、身体への負担がほとんどありません。副作用が少ないため、生活の質、いわゆるQOL(=Quality of Life)を維持しながら治療を続けることも可能です。
  • 費用について
    治療にかかる費用は、1クール(6回~12回投与)実施の場合、治療法にもよりますが¥1,815,000~¥4,911,500が目安となります(初診料、検査費用等は除く)。

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