治療に使う細胞の安全性
当院で提供している免疫細胞治療は、患者さんの血液から免疫細胞を取り出し、約2週間かけて培養した上で再び体内に戻す再生・細胞医療です。患者さんの細胞を体外で培養・加工する過程においては、安全性確保のためのプロセス管理は非常に重要です。
厚生労働省の許可を得た細胞加工施設で製造しています
当院は、免疫細胞に使用する細胞の加工を、再生医療分野のリーディングカンパニーである株式会社メディネットに委託しています。メディネット社は、1999年に国内で初めて免疫細胞治療の加工を事業化して以来、20万件以上の免疫細胞加工の実績をもち、豊富な経験と高い専門性で信頼される企業です。
「再生医療等安全性確保法」だけでなく、さらに厳しい「医薬品医療機器等法」に基づく製造業許可を受けた同社の細胞加工施設は(延べ床面積約3,000m2の)国内最大クラスの規模で、医薬品製造工場と同等レベルの清浄度管理と安全性基準によって管理されています。また、専門企業に委託するからこそ堅牢な品質管理体制が維持され、25年以上にわたって加工細胞による治療事故ゼロの高い品質の細胞加工実績が実現可能となっています。
安全性の高い治療細胞を提供できる4つの理由
当院が提供する免疫細胞治療の細胞品質は、メディネット社による「ヒト」「施設」「運用」「研究開発」の4つで成り立っています。
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- ヒト
- 経験豊富な培養士と
品質管理体制
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- 施設
- 高度に管理された
細胞調製室
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- 運用
- 徹底した運用体制
と安全性維持
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- 研究開発
- 品質と有効性向上の
ための研究開発
経験豊富な培養士と品質管理体制
細胞加工においては、培養士のスキルや経験が極めて重要な要件となります。メディネット社では、長年の実績に基づく体系的な教育システムを構築し、細胞加工の技術だけでなく、医療従事者としての倫理観や関連法規に関する知識まで、幅広い教育を行っています。作業工程ごとに認定試験を実施し、合格した高いスキルを備えた培養士が、責任をもって患者さんの免疫細胞の加工を担当します。
また、メディネット社では製造、品質検査や品質保証の各部門が独立し、必要な人員を配置することで、責任体制が明確化され、高い品質が確保されています。
高度に管理された細胞調製室
患者さんの免疫細胞を加工するにはきわめて衛生管理されたクリーンルームが必要となります。メディネット社では、患者さんから採取した血液を清浄度クラス10,000のクリーンルーム内に設置した清浄度クラス100のバイオセーフティキャビネット内で細胞加工を実施しています。また、細胞調製室の使用する機器の運転状況は、監視システムによる24時間モニタリングされています。建物自体も免震構造で非常電源も備えており、災害等にも安心して細胞加工がおこなえる設備体制が整っています。
徹底した運用体制による品質と安全性の維持
メディネット社では、血液や細胞の取り違いを防止するため、血液の受け入れから細胞加工、検査、出荷にいたる一連の業務はバーコードによる自動識別システムや工程管理システムを用いて管理を行っています。
また、生産管理部門を設置して、最適で高品質な試薬や資材の選定と安定供給体制に努め、患者さんに高品質で安全な治療が途絶えることなく提供できる体制を整備しています。
品質と有効性向上のための研究開発
メディネット社では、製造部門と密接に連携した研究部門を設置し、患者さんに提供する免疫細胞の品質向上と有効性を高めるための研究に取り組んでいます。また、最新の免疫細胞加工技術の開発にも注力し、より安全で効果的な治療の提供を目指しています。