法律に基づく再生医療の健全な普及を願って ~違法な再生医療に対する見解~
2017年8月27日、再生医療等安全性確保法(以下、安全性確保法)で定められた手続きを取らずに他人のさい帯血を用いた再生医療を提供していたとして、さい帯血をクリニックに販売した業者や実際に治療に関わった医師などが同法違反の容疑で逮捕されました。
安全性確保法は、再生医療の実用化をより安全かつ迅速に推進するため、再生医療等を提供しようとする者が講ずべき措置や手続きについて規定しています。今回問題になった他人のさい帯血を用いた治療は最もリスクが高い第一種再生医療等に分類されており、治療提供にあたり厳格な手続きが定められています(下図参照)。
なお、当院で提供しているがん免疫細胞治療も、安全性確保法において第三種再生医療等に分類されています。リスクが低いとされる第三種の分類ですが、再生医療提供計画の作成や厚生労働大臣に認定された認定再生医療等委員会での審査・承認、更には厚労大臣への定期報告など各種手続きが義務付けられており、当然ながら当グループも法律を遵守した治療を行っています。
また、今回の件以外にも、安全性確保法に基づいた届出を行わずにがん治療用の免疫細胞を加工していたとして、7月14日に厚生労働省から生命科学研究所(東京都千代田区)への細胞加工緊急停止命令が出されました。免疫細胞治療の健全な普及のため安全性確保法の策定議論にも積極的に参画してきた当グループとしても、昨今の一連の法令違反に対して大変危惧を抱いています。
当グループは今回の件を機により一層の法令遵守を進めていくと共に、法律に基づく再生医療が健全に社会に普及していくことを切に願っております。
(厚生労働省HPの図解を元に構成)