がん患者さんの中には、仕事とがん治療を両立している人が多くいます。治療に大きな問題がなく本人の希望があれば、仕事をそのまま続けることができます。なお、仕事を続けるためには職場の理解や協力が不可欠です。制度が整っていることはもちろん、コミュニケーションが取りやすいかも確認しましょう。
本記事では、がん治療中でも仕事を続けるメリット・デメリットや働きやすい職場環境を紹介します。
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がん治療中に働くべき?働ける仕事は?
「がんになると仕事を続けられないのでは?」と、不安に感じる患者さんは少なくないでしょう。
上記の疑問について厚生労働省の資料を確認すると、2017年に仕事をしながらがん治療のため通院している人は約44.8万人でした。同年に新たにがんと診断された人の人数は約97万人のため、半数近い患者さんが仕事とがん治療の両立を選択していることが分かります。
なお、年代を確認するとがん患者さんの3人に1人が20~60代の働き盛りの時期にがんに罹患しています。そのため、がん患者さんが仕事と治療を両立できるような仕組み作りは、患者さん自身だけでなく国にとっても重要な課題といえるでしょう(※)。
※参考:厚生労働省.「がん患者・経験者の治療と仕事の両立支援施策の現状について」P2.
https://ganjoho.jp/med_pro/liaison_council/lc01/20201105/pdf/20201105_01-01.pdf ,(参照2024-10-14).
約半数はがん治療中でも現在の仕事を続けている
2016年には「改正がん対策基本法」が成立、がん患者さんの雇用継続等に配慮し、がん対策へ協力する努力義務が事業主に課されました(※1)。
実際、2018年の調査によると、就労中にがんの診断を受けた人の割合は44.2%でした。このうち、診断後に休職などはしたものの、退職・廃業はしなかったと回答した人の割合は54.2%に上っています(※2)。
このため、がんの診断を受けても、患者さんの希望があれば、現在の仕事を続けられる環境整備が進んでいると分かります。
※1 参考:厚生労働省.「がん対策基本法一部改正と第3期がん対策推進基本計画の検討状況について」P2.
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000168737.pdf ,(参照2024-10-18).
※2 参考:厚生労働省.「患者体験調査報告平成30年度調査」P78-79.
https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000860132.pdf ,(参照2024-10-14).
長期療養者には就職支援制度がある
前述の調査によると、がん診断後に退職や廃業した人の割合は19.8%です。このうち、治療開始前に退職した人は56.8%と、半数以上に上ります。また、退職後に再就職した人の割合は19.7%、再就職の希望はあるが無職と回答した割合は22.5%です(※)。
厚生労働省では長期間治療を続けるがん患者さんの支援を目的に「長期療養者就職支援事業」を行っています。同事業では、全国のハローワークや病院などと連携し、再就職支援を実施しています。長期のがん治療を続けながら働ける仕事を探している人は、支援事業を活用しても良いでしょう。
※参考:厚生労働省.「患者体験調査報告平成30年度調査」P87.
https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000860132.pdf ,(参照2024-10-14).
がん治療中に働くメリット・デメリットを解説
がん治療中に働くメリットは、経済的な安定や心の健康維持に役立つ点です。また、理解のある職場であれば、治療後の復職もしやすくなります。
一方、デメリットとしては、がん治療よりも仕事を優先してしまう恐れがあったり、職場によっては治療の理解が得られなかったりする点です。さらに、体力の低下や外見の変化などがあり、働く際に負担となる可能性もあるでしょう。
がん治療中に働くメリット
がんの種類や状態によっては、治療をしながら働き続けることが可能です。仕事を続けることで経済的な安定だけでなく、心の安定にもつながることがあります。
経済的な安定を維持できる
がん治療には多くの費用が必要です。そのため、がんの治療中でも可能な限り仕事を続けられれば、経済的に安定した状態を維持でき、結果として生活の質(QOL)の低下防止に役立ちます。
会社員であれば、有給休暇や傷病手当など、治療のために仕事を休んでも収入が保障される制度があります。もし無職の状態で治療に専念すると、生活費の捻出や治療後の仕事復職など、治療以外の悩みが増える恐れがあるため注意が必要です。
心の健康維持に役立つ
仕事を続けることで、がん患者さんのストレス軽減につながる可能性があります。がんの診断を受けると、多くの患者さんは不安や落ち込みが強くなります。通常、時間の経過に伴いストレスに適応していくものの、仕事を辞めて自由な時間が増えるとネガティブな思考を続けてしまうかもしれません。目の前の仕事に集中できる時間が取れれば、一時でもがんのことを忘れられるため、心の健康を維持しやすくなります。
職場の理解を得られれば治療後も働きやすい
がん治療に対し理解のある職場であれば、治療後も働きやすい点もメリットでしょう。がんは治療して数年~数十年後に再発するケースもあります。がん治療に理解のある会社であれば、万が一再発しても状況に応じて部署を変更するなど、仕事を続けられる環境を整備してもらいやすくなります。
がん治療中に働くデメリット
がんの種類や治療方法、職場環境によっては治療中に働くことがデメリットになる恐れもあるため注意が必要です。
体力の低下や外見の変化への対応が必要になる
がん治療では強い副作用による体の痛みや体力の低下、外見の変化を伴うことがあります。仕事中に体力が続かないどころか、通勤さえもままならないかもしれません。またウィッグを使う、マニキュアで爪の色を整えるなど、仕事を続けるためのケアが必要になった場合は負担が増えることも考えられます。
治療よりも仕事を優先する恐れがある
責任感から、治療より仕事を優先してしまう恐れもあるでしょう。がんの治療では、所定の回数やサイクルで治療を行います。仕事などを理由に治療が遅れたり、スケジュールを大きく変更したりすると、思うような治療効果を得られない可能性があります。働きながら治療を続けるのであれば、治療を優先できる環境が必要です。
職場の理解を得られない可能性がある
がんになっても仕事を続けられる職場作りが推進されていますが、残念ながらがん治療の理解を得られないことがあります。また営業職であれば、取引先への説明が必要になることもあるでしょう。仕事の継続がかえって精神的負担の増加につながる可能性も否めません。
がん治療中の患者さんが働きやすい職場環境とは
がん治療中の患者さんが仕事を続けるためには、職場の理解や協力が不可欠です。ここでは、がん治療中の方が働きやすい職場環境の一例を紹介します。
がんと就労について理解がある
職場にがんと就労に対する理解があると、治療中でも働きやすくなるでしょう。手術を行う場合は、手術をして終わりではなく、経過観察や場合によっては再手術が必要になることもあります。また治療方法もさまざまあり、治療後は後遺症や副作用に悩まされることも少なくありません。
職場の上層部や人事部にがんに対する正しい知識があれば、仕事と治療を両立する上でどのような困難があるか理解を得やすくなります。また、がん治療を続けながら働いている社員の前例がある職場であれば、今後の働き方もイメージしやすいでしょう。
休暇取得や勤務時間の変更ができる
がん治療をしながら働くなら、休暇と勤務方法に関する制度は特に重要です。有給休暇制度や病気休暇制度が整っていることはもちろん、これらの制度を取得しやすいことも大切です。がん治療中は治療のためだけでなく、急な体調不良で仕事を休まざるを得ないこともあります。
勤務方法は場所と時間を柔軟に選択できることが大切です。例えば、就労場所は事務所だけでなく、自宅や近くの事業所での勤務(サテライト勤務)ができると良いでしょう。また、勤務時間はシフト制やフレックス制を導入していると融通が利きやすくなります。
業務の共有体制が整っている
がん治療中は急な休みや休業が必要になる場合があるため、業務が共有しやすいことも大切です。担当業務と業務内容、進捗状況が見える化されていると、いざ仕事を休むときも簡単な引き継ぎだけでこと足ります。理想は、誰でも業務を代行できる状況です。仕事が属人化していると休みが取りにくく、自分が休むことで職場に迷惑が掛かるのではないかと悩む可能性があるため注意が必要です。
上司や同僚とコミュニケーションが取りやすい
治療を続けながら働くためには、上司との情報共有が不可欠です。治療のスケジュールだけでなく、治療後は体調や副作用の有無、できる仕事の範囲、職場で協力してほしいことなど、細かな連携が取れると良いでしよう。また、日頃から社員同士のコミュニケーションが活発で、休みを取っている社員の業務をサポートする文化があるとより働きやすくなります。
サポートする社員への配慮が行き届いている
がん患者さんだけでなく、サポートする社員の負担に対する配慮も大切です。特定の社員にのみ業務が集中すれば、がん患者さんとその社員との関係性悪化につながります。そのため、上司とサポートする社員が頻繁に面談するなど、上層部が社員の負担を把握し、ケアする仕組みがあると良いでしょう。
がん治療中の仕事との向き合い方
働く人ががんに罹患した場合、会社とは以下の2点の相談や調整が必要です。
- 1.診断から復職までの計画
- 2.復職後の具体的な働き方
長期休職をせずに働き続けるケースと、数カ月休職するケースによって相談や調整の内容は異なります。また、復職のタイミングは治療方法や内容によるため、がん患者さんの体調や状況に合わせて働き方を検討しましょう。
診断から復職までの計画
がんの診断を受けたときは、治療方法の報告や今後の働き方、公表の範囲などを上司や主治医と相談しましょう。
治療計画を上司に報告する
がんの診断を受けると、主治医から治療計画が提案されます。主な内容は、手術が必要な場合は日程と入院期間、抗がん剤治療は投与スケジュール、放射線治療は照射日程などです。がんの種類によっては、これらの治療を複数組み合わせることもあります。
治療計画が決まったら、速やかに上司に報告しましょう。なお、診断当初は詳しい治療計画が定まっていないこともあります。がん治療では状況により治療計画が変わるのは珍しくないため、その都度、上司へ速やかに報告するのが大切です。
今後の働き方を上司と相談する
休職が必要であれば事前に主治医に診断書を書いてもらいましょう。もし、どの程度休職が必要なのか決まっていないなら、主治医と相談し、暫定的なスケジュールを作成した上で上司に相談するのがおすすめです。休職をするなら上司だけでなく人事部も交え、就業規則上いつまで休めるのか、どのような社内制度を使えるのかなど、詳しく確認してから取得しましょう。
治療しながら仕事を続けたいときは、主治医にどの程度仕事をしてよいか具体的に確認しましょう。例えば「パソコン作業を5時間続けても支障はないか」などです。その結果を上司と共有し、今後の働き方を決定します。
なお、がん患者さんの中には周りに迷惑が掛かると考え、がんの診断を受けてすぐに降格や自主退職を申し出る人がいますが、得策ではありません。治療の状況によっては寛解もあり得るので、まずは辞めずにできる対策を話し合いましょう。
病気を公表する範囲を決定する
がんを職場に公表するときは、公表範囲を事前に上司と相談しましょう。なお、病名の公表は必ずしも必要ではありません。公表により、体調不良時に理解を得られやすいなどのメリットがある反面、不利益を被る恐れもあります。公表はするかしないかだけでなく、部署内のみに公表するか、それとも取引先にも伝えるかなど範囲の検討も必要です。
復職後の具体的な働き方
がんの治療が一段落しても、肉体的・精神的な倦怠感が続くことは少なくありません。そのため、復職後も体調に応じて、無理のない範囲で働くことが重要です。
復職のタイミング
復職のタイミングは、がんの状態や仕事内容にもよるため、一概に言い切れません。まずはがんの状態と仕事に対する気持ちを踏まえ、主治医とよく相談しましょう。
なお、長期入院の後は体力が著しく低下しています。復職を考え始めたら、まずは起床や通勤などを無理なくできるか確認も必要です。実際に復職するとなると、職場での調整や手続きを要するため、1カ月程度は準備期間を設けて進めると良いでしょう。
復職後も体調に合わせて働くことが重要
がんは治療が終わった後も体調不良や倦怠感、精神的不調が続くことが多くあります。そのため、無事に職場復帰ができたからといって無理をするのは禁物です。
治療から年月が立つと、職場で体調への配慮を得にくくなることがあります。また、がん患者さん自身がキャリアのために無理をしてしまうこともあるでしょう。
そのときの体調は、がん患者さん本人でないと分からない部分が多くあります。配慮を必要とする場合は、都度話し合いを続けましょう。なお、がんをはじめとする病気を理由とした解雇は、法律上認められていません。もし、不当な解雇や配置換えなどがあったときは、労働基準監督署や労働組合に相談しましょう。
仕事を続けながらがん治療を試みる方法
がん治療には、大きく分けて以下の4つの方法があります。
治療方法 | 特徴 |
---|---|
手術療法 | 外科手術でがんの病巣を切除する方法です。病巣の状態によっては直接的で根治性が高いものの、体にメスを入れるため回復に時間がかかることがあります。 |
放射線治療 | 放射線をがんに照射する方法です。身体的負担は手術療法より少ないものの、通院回数が多く、治療後は倦怠感が出ることもあります。 |
化学治療 | 抗がん剤などを使った治療法です。通院回数が放射線治療より少なく全身のがんに効果が期待できるものの、強い副作用が出ることがあります。 |
免疫療法 | 体が本来持つ免疫機能を利用してがんを治療する方法です。がん細胞のみを攻撃するため比較的副作用が少なく、全身に広がった進行がんにも適用できます。 |
がんの三大療法は「手術療法」「放射線療法」「化学療法」ですが、最近では第四の治療法として「免疫療法」を提供する医療機関が増えています。免疫療法は副作用がほとんど表れないため、生活の質を維持しながらがん治療を続けられる点が特徴です。また、三大療法との併用も可能で、治療全体の効果向上も期待できます。
免疫療法の詳しい内容は「免疫細胞治療とは-自分自身の免疫細胞でがんを攻撃」もご覧ください。
がんでも働きたいときは治療方法の選択も大切
2016年の「改正がん対策基本法」の施行により、事業主にはがん患者さんの雇用の継続やがん対策への努力義務が課されました。実際に、厚生労働省の資料によれば、がんの診断を受けても約半数の患者さんが現在の仕事を続けています。がんの状態を考慮する必要はありますが、希望があれば現在の仕事を続けることは十分可能です。
なお、仕事とがん治療を両立したいなら、副作用の程度を踏まえた治療方法の選択も大切です。がん免疫療法専門医療機関 瀬田クリニック東京では、患者さん一人ひとりに合わせた治療ができる「個別化がん免疫療法」を行っています。生活の質を維持しながら仕事と治療を続けたいとお考えの方は、ぜひ以下をご確認いただき当院までご相談ください。


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