花咲き乳がんは、がん性皮膚創傷やがん性皮膚潰瘍の俗称です。がん細胞が増殖し、腫瘤として皮膚表面に現れ、壊死や自壊によりえぐれたような傷ができます。花咲き乳がんは進行が速い乳がんですが、早期に治療を受けることで症状を和らげられる可能性があります。
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花咲き乳がんは病名ではなく状態のこと
花咲き乳がんとは、病名ではなく状態を表す俗称です。乳がんは乳腺の組織にできるがんですが、一部の乳がんは乳房の特定の部位に集中して増殖する特異な性質を持つものがあり、局所進行乳がんと呼ばれます。局所進行乳がんでは、がんが進行・増大すると、がんが乳腺内にとどまり切らず、皮膚に浸潤して表面に露出し、腫瘤や潰瘍を形成することがあります。花咲き乳がんも局所進行乳がんの一つです。
花咲き乳がんの正式名はがん性皮膚創傷・がん性皮膚潰瘍
花咲き乳がんの正式名は、がん性皮膚創傷・がん性皮膚潰瘍です。
がん性皮膚創傷は、がんの進行と増大により、がんが体表面に現れた状態のことを指します。
がん性皮膚潰瘍は、がん性皮膚創傷が進行し、腫瘤が壊死したことでえぐられたような傷ができた状態のことです。がん性皮膚潰瘍は転移性がんの約5〜10%に見られるといわれています。乳房の変形や臭いが生じるため、身体的な苦痛だけでなく精神的な負担も大きいことが特徴です。
花咲き乳がんの前兆となる症状
花咲き乳がんは腫瘤が皮膚の表面に現れる前に、しこりや赤み、変形などの前兆が見られます。進行が速いタイプの乳がんのため、次のような症状を自覚したら早めに乳腺科を受診することが大切です。
しこり
乳房でがん細胞が増大すると、触れた時にしこりを感じられることがあります。しこりに気付いたら早めに医師に相談しましょう。乳がんのしこりの特徴には硬い、動かない、痛みがないなどがあり、乳がん以外のしこりは弾力がある、触ると動くなどの特徴があります。
赤みや熱感
がん細胞が皮膚の近くにあると、皮膚に炎症による赤みや熱感が現れることがあります。
変形
がん細胞が皮膚の近くにあると乳房の形や大きさの変化、皮膚の陥没や引きつれが生じることがあります。
花咲き乳がんの主な症状
花咲き乳がんの主な症状は、出血や痛み、浸出液の漏出や臭いです。
出血
花咲き乳がんの潰瘍部は血管壁がもろく、また腫瘍が血管へ浸潤するため、出血しやすくなっていることが特徴です。患部を直接ガーゼなどで圧迫すると、剥がす時の剥離刺激で再出血することもあります。また抗がん剤治療により血小板が減少していると、出血が止まりにくくなりジワジワと出血が続きます。
浸出液の漏出
腫瘤が大きくなると、壊死したりつぶれたりして浸出液が出てきます。花咲き乳がんは、多量の浸出液が漏出することが特徴です。
痛み
がん性皮膚潰瘍は皮膚の細胞を壊すため、痛みを伴います。医師の判断の元、症状に合わせて薬で痛みをコントロールします。
臭い
花咲き乳がんは、独特な悪臭を伴うことも特徴です。潰瘍部分から発生する臭いで、がん性皮膚潰瘍臭と呼ばれます。臭いの原因は次の通りです。
臭いを産生する嫌気性菌
花咲き乳がんの主な臭いの原因は、潰瘍深部の感染によるものです。感染した嫌気性菌は臭気物質である酪酸や吉草酸、ヘキサン酸などの揮発性短鎖脂肪酸を産生するため、臭いが生じます。
壊死した組織
花咲き乳がんは、がん細胞でできた腫瘤が増大し壊死・自壊して皮膚の表面に現れた状態になっています。腫瘍組織が壊死する過程で、臭気物質であるポリアミン類のプトレシンやカダベリンなどが生成されるため、臭いが生じます。
花咲き乳がんの原因
花咲き乳がんの主な原因は、乳房のしこりや皮膚の変化を放置することです。放置の原因は、皮膚疾患と誤解したり忙しさや精神的なつらさから受診をためらったりするケースが多いようです。
また、進行の速い乳がんや乳がん治療後の再発で花咲き乳がんになる場合もあります。日頃からセルフチェックを行い、気になることがあれば医師に相談することが大切です。
乳がんの原因
乳がんの原因ははっきりと分かっていませんが、次のような項目がリスク要因と考えられています(※)。
- ●初経年齢が早い
- ●閉経年齢が遅い
- ●初産年齢が遅い
- ●授乳歴がない
- ●閉経後の肥満
- ●飲酒習慣
- ●乳がんの家族歴 など
特に家族に乳がんの患者さんがいる場合や若年性乳がんの場合、遺伝の可能性が高まります。
※参考:日本医師会ホームページ 知っておきたいがん検診 「乳がんの原因」
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/breast/cause/,
花咲き乳がんの進行過程・ステージ
乳がんの進行速度は乳がんの種類や患者さんによっても異なりますが、一般的には1年で約2倍の大きさになるといわれています。そのため、腫瘍が1cmまで大きくなるには時間がかかりますが、1cmから2cmに大きくなるには1年程度しかかかりません。
花咲き乳がんの一般的な進行過程は次の通りです。
- 皮膚にしこり、赤み、熱感、変形などの症状が現れる
- がん細胞が増殖し、皮膚の表面に露出して腫瘤を形成する
- 腫瘤が壊死・自壊して潰瘍になる
- 滲出液の分泌、出血、痛み、臭いが生じる
- 患部が大きくなる、または陥没が起こる
花咲き乳がんは進行が速いタイプの乳がんです。しかし治療を開始するタイミングが早ければ、症状の進行を抑えられる可能性が高まります。
がんは進行度によりステージが分けられる
乳がんを含むがんは、国際的な分類法であるTNM分類を用いて進行度によりステージが分けられています。
TNM分類は「Tumr(しこり)の大きさや広がり」、「Node(リンパ節)への転移の有無と広がり」、「Metastasis(遠隔転移)」の頭文字を取ったものです。がんはステージにより治療方法が異なるため、治療する前にステージを知る必要があります。
花咲き乳がんはステージⅢ以上の乳がん
乳がんのステージはTNM分類により0期、Ⅰ期、Ⅱ期(ⅡA、ⅡB)、Ⅲ期(ⅢA、ⅢB、ⅢC)、Ⅳ期の8段階で分類されます(※)。
腫瘍が大きく、リンパ節に転移した状態を進行乳がんといい、ステージではⅡAからⅢCまでが該当します。進行乳がんの中でも局所のがんの進行が著しい状態を局所進行乳がんと呼びます。局所進行乳がんの場合ステージはⅢ以上です。
花咲き乳がんは局所性乳がんのため、花咲きの症状が現れた時点でステージⅢ以上、加えて他の臓器に転移するステージⅣである可能性もあります。
しこりの大きさ(T) | 転移(N) | ||||
---|---|---|---|---|---|
転移なし(N0) | 脇の下のリンパに転移があり(N1) | 脇の下のリンパに転移があり周囲組織に固定されている、または内胸のリンパに転移がある(N2) | 脇の下と内胸のリンパ、または鎖骨上、内胸と脇の下の両方のリンパに転移がある(N3) | 他の臓器に転移がある(M1) | |
触れない (T0) |
ー | ⅡA | ⅢA | ⅢC | Ⅳ |
2cm以下 (T1) |
Ⅰ | ⅡA | ⅢA | ⅢC | Ⅳ |
2から5cm以下 (T2) |
ⅡA | ⅡB | ⅢA | ⅢC | Ⅳ |
5cmを超える (T3) |
ⅡB | ⅢA | ⅢA | ⅢC | Ⅳ |
皮膚の変化がある、炎症性乳がん (T4) |
ⅢB | ⅢB | ⅢB | ⅢC | Ⅳ |
※参考:認定NPO法人キャンサーネットジャパン.「乳がんの病期と治療法」.
https://www.cancernet.jp/cancer/breast/breast-stage ,(参照2024-09-27).
花咲き乳がんの治療方法
乳がんはステージにより治療方法が異なります。花咲き乳がんは局所進行性の乳がんで、ステージはⅢ期またはⅣ期です。進行しているがんのため完治は難しいとされていますが、治療でがんの進行を抑えたり、症状を緩和してQOLを高めたりできる可能性があります。
花咲き乳がんの状態だと手術で切除するのは難しいことが多く、化学療法を用いた全身治療と、手術や放射線を用いた局所療法を組み合わせて行うことが一般的です。
化学療法
化学療法は抗がん剤を用いた治療で、がん細胞を死滅させ小さくする目的で行われます。化学療法でがんを小さくできれば花咲き乳がんでも手術できる可能性があり、乳房や脇のリンパを切除する手術療法が検討できます。
ホルモン療法
乳がんは女性ホルモンの影響を受けて増殖する性質があるため、エストロゲンの産生を抑えたり、エストロゲンの受容体との結合を阻害したりする薬を投与することで、がん細胞の増殖を抑制する効果が期待できます。
手術療法
花咲き乳がんで遠隔転移がない場合には、化学療法でがんを小さくしたあと、がん細胞を切除する手術を行うことがあります。また花咲き乳がんの手術は完治を目指すためだけに行うのではなく、潰瘍のケアでは日常生活に支障がある場合に、QOLを高めるために行われることもあります。
放射線療法
放射線治療は手術後に再発を抑える目的で行われたり、潰瘍からの滲出液が多い場合に症状を抑えたりするために行われます。
緩和ケア
緩和ケアは、がんやがん治療による心身の負担や苦痛を和らげる治療です。がんと診断されたらステージに関わらずいつでも必要な時に受けられる治療で、QOLを高める目的で行われます。
花咲き乳がんの臭いのケア方法
花咲き乳がんの臭いは強いため、本人だけでなく家族の悩みにもなります。少しでも快適に過ごせるように花咲き乳がんの臭いのケア方法を解説します。
患部の洗浄
花咲き乳がんの潰瘍部からは臭いの原因となる滲出液が出ます。洗浄や拭き取りを行い患部を清潔に保ちましょう。感染予防にもなります。しかし、潰瘍部はデリケートなので洗浄方法には注意が必要です。
熱い湯は皮膚を乾燥させやすいため、38度程度のぬるま湯で洗い流しましょう。シャワーをかける時は水圧が強いと潰瘍部から出血したり、痛みを感じたりするため、水圧を弱くしてから浴びてください。
軟こうの塗布
医師の判断の元、潰瘍部の殺菌や消毒に効果のある軟こうが処方されることもあります。花咲き乳がんの臭いは嫌気性菌が原因のため、抗菌作用のある軟こうを塗布すれば臭いの除去効果が期待できます。
出血や滲出液が漏れるのを防ぐ
花咲き乳がんの潰瘍部から出る出血や滲出液は、臭いの原因になります。皮膜剤や吸収パッドを当ててからパウチを貼り、血液や滲出液の漏れを防ぎましょう。消臭効果のあるシートを使用すると臭い対策に有効です。
花咲き乳がんは免疫療法も選択肢の一つ
花咲き乳がんの治療は化学療法やホルモン療法、手術療法、放射線療法が一般的ですが、免疫療法も選択肢の一つになります。免疫療法は自身の体内にある免疫の力を利用する治療法です。
人間の体には、もともと存在しない異物を認識し排除する免疫という機能があります。異物は体外から侵入した細菌やウイルスだけでなく、体内で発生したがん細胞も含まれます。免疫療法は、異物を排除する免疫の力を応用した新しいがんの治療法です。
免疫療法は進行した花咲き乳がんにも適応する
花咲き乳がんは局所進行性の乳がんです。進行が速いがんで、花咲きの症状が現れた段階でステージⅢ、他の臓器に転移しているステージⅣであることも少なくありません。
手術や放射線治療は局所的に効果が期待できる治療法ですが、免疫療法は全身に作用する治療のため、転移や再発によって広がったがんにも適応しています。患者さんの病態にもよりますが、放射線療法やホルモン療法など他の治療と組み合わせて受けることも可能です。
副作用が少ない
免疫療法は、抗がん剤や分子標準薬と同じく全身に作用する治療です。抗がん剤治療と免疫療法の違いは、抗がん剤ががん細胞だけでなく正常な細胞も攻撃するのに対して、免疫療法はがん細胞だけ排除し、正常な細胞は攻撃しないという点です。
抗がん剤治療は副作用が出やすく、免疫療法は副作用が少ないという特徴があります。そのため、体力が落ちている人や副作用が心配な人にも使用できる可能性があります。
効果が持続しやすい
免疫療法は、抗がん剤治療と比べると効果が現れるまでに時間がかかる傾向があります。しかし効果が現れた場合には、持続期間が長いところが特徴です。
最適な免疫療法を選択できる個別化医療
がん細胞は遺伝子の変異を多く持ちます。それはがん細胞が、通常の細胞が分裂する時に、細胞内の遺伝子がコピーミスを起こして生じるからです。変異した遺伝子は、がん細胞にがんの目印(ネオアンチゲン)を出現させるといわれています。
遺伝子がコピーミスを起こす部位は患者さんごとに異なるため、ネオアンチゲンも一人ひとり異なることが特徴です。がん細胞の遺伝子を解析し、遺伝子変異を特定して一人ひとりに合う免疫医療を行うことを個別化医療と呼びます。
ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンはオーダーメイドワクチン
ネオアンチゲン樹状細胞ワクチンは、遺伝子検査を行い特定したネオアンチゲンを人工的に作製し、樹状細胞にがんの目印として取り込ませてから患者さんの体内に戻す免疫療法です。
一人ひとり異なるネオアンチゲンを使用するオーダーメードのワクチンであり、がん治療に高い効果が期待できます。
まとめ:花咲き乳がんは免疫療法も適用できる
花咲き乳がんは局所進行がんの一つです。乳がんの一般的な治療法は手術、抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン療法ですが、症状によっては受けられない治療法もあるでしょう。
新たながん治療として注目を集めている免疫療法は、進行した花咲き乳がんにも適用できる可能性があります。免疫療法は国内外で研究が進んでおり、さまざまな治療法が登場しています。しかし、がん細胞の性質は患者さん一人ひとり異なるため、全員に等しく効果のある免疫治療はなく、患者さんの病態に合わせて使い分けることが大切です。
瀬田クリニック東京では、患者さん一人ひとりの免疫細胞やがん細胞の状態を徹底的に検査した個別化医療を提供しています。免疫療法は三大治療と比べて副作用が少なく、三大治療と併用することで効果を高めると期待されています。治療説明会や治療前相談も行っているので、免疫療法について関心のある人はぜひ瀬田クリニック東京にご相談ください。
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