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化学療法と抗がん剤の違いとは?化学療法による治療内容や他の治療法との違いを解説

投稿日:2024年8月2日

更新日:2024年8月2日

化学療法は数あるがん治療のうちの一つで、抗がん剤を用いた療法となります。がん治療の柱の一つですが、それ以外の方法と併用されることも多いので、それぞれの違いについても理解しておきましょう。

本記事では化学療法と抗がん剤の違いや、化学療法による治療の概要、その他の治療法との違いについて解説します。

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化学療法と抗がん剤の違いは?

化学療法と抗がん剤の違いは、方法か手段かという点です。

化学療法とは、がんの治療法の一つです。一方、抗がん剤は化学療法で用いられる薬剤のことを指します。そのため、化学療法は抗がん剤治療と呼ばれることもあります。

つまり抗がん剤は化学療法の手段であり、両者は切っても切れない関係であるということです。

抗がん剤とは

抗がん剤とは、前述のように化学療法に用いられる薬剤の総称です。その役割は、主にがん細胞の増殖を抑制したりがん自体を破壊したりすることです。抗がん剤には複数の種類があり、錠剤やカプセル剤といった飲み薬と、血管に直接投与する注射薬の2タイプに分類されます。

以下では主な抗がん剤の種類とそれぞれの特徴を説明します。

1. アルキル化剤

昔からある抗がん剤で、白血病や悪性リンパ腫、肉腫などさまざまながん治療に用いられる薬剤です。

がん細胞は増殖を繰り返し、正常な細胞のはたらきを妨げたり、組織を破壊したりしますが、細胞の増殖には遺伝情報が刻まれているDNAの複製が必要になります。アルキル化剤はDNAと結合し、その構造を変化(アルキル化)させることによってDNAの複製を阻害させる作用があり、がんの分裂・増殖を抑制します。

2. 代謝拮抗剤

DNAの合成に必要な酵素を阻害したり、腫瘍細胞が栄養不足になる状態を引き起こしたりして、がん細胞の分裂・増殖を妨げる薬剤です。

代謝拮抗剤はがん細胞の増殖に必要な物質と似た構造をしているため、細胞内に侵入しやすく、効率的に分裂・増殖を抑える効果が期待できます。

3. 抗がん性抗生物質

細胞の増殖に必要なDNAやRNAの合成を妨げることでがん細胞の分裂・増殖を抑制する薬剤で、土壌などに含まれるカビなどが産生する物質から作られています。

具体的なはたらきとしては、細胞内のDNAと結合して、DNA鎖を延長させる酵素のはたらきを妨げたり、DNA鎖を切断したりします。

4. 植物アルカロイド

強い毒性を持つ天然の植物から作られた薬剤で、がん細胞の分裂を抑制し、増殖を妨げる作用があります。代表的なものに、ケシから抽出されるモルヒネや、キナから抽出されるキニーネなどがあります。

化学療法によるがんの治療を解説

化学療法によるがん治療についての概要をまとめました。

1. 目的

がんに対する化学療法の目的は大きく分けて3つあります。

まず1つ目はがんの治癒を目指すことです。がんの種類や進行度によっては、化学療法を行うことでがんの治癒を期待できます。

2つ目の目的は、延命効果の発揮です。がんが進行して手術が不可能な場合や、再発したがんは、上記のような治癒が難しいケースもあります。このようなケースでは、化学療法を用いてがんの進行をできるだけ遅らせたり、がんを小さくさせることでより長生きできる効果が期待できます。

3つ目は、がん症状の緩和です。がんになると、痛みやしびれ、発熱などさまざまな症状が現れ、患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)が著しく低下してしまいます。化学療法でがんの進行を遅らせたり、がんを小さくしたりすると、これらの症状が緩和され、QOLの向上を期待できます。

2. 治療の内容

化学療法を治癒目的で行う場合、抗がん剤のみを用いるケースと、手術と組み合わせて行うケース、放射線療法と併用するケースの3つがあります。

1. 抗がん剤のみ使用するケース

がんが進行しており、薬で症状を抑えた方が良いと判断された場合や、白血病・悪性リンパ腫といった血液・リンパのがんの場合は、抗がん剤だけを使う場合があります。

なお1種類だけの抗がん剤を使う場合もあれば、複数の種類を併用する場合もあります。

2. 手術と組み合わせるケース

手術と化学療法の組み合わせは、手術前後で目的が異なります。

手術前に行う場合の目的は、抗がん剤でがんを小さくさせて、手術で取り除きやすい状態にすることです。がんが縮小すれば正常組織をできるだけ残して施術することが可能になる他、再発リスクの低減にもつながります。

一方、手術後に行う場合の目的は、見えないがんを排除することです。手術で目に見える病巣を取り除いても、目に見えないがんが残っていた場合、再び分裂・増殖を繰り返して再発する可能性があります。術後に化学療法を行えば、小さながんを排除し、再発のリスクを未然に防ぐことを目指せます。

ただし手術前後の化学療法は、臨床試験などで一定の効果が確認された特定のがん・状態の患者さんにのみ行われるものです。がん手術を行う全てのケースに実施されるものではないことに注意が必要です。

3. 放射線治療と組み合わせるケース

化学療法と並行して放射線療法を行うことを、化学放射線療法といいます。

全身への効果を期待できる化学療法と、局所的にがん細胞にダメージを与える放射線療法を併用することで、相乗効果を期待できます。

3. 薬剤の投与方法

抗がん剤の投与方法は大きく分けて経口と静脈注射、その他の方法の3パターンがあります。

1. 経口

錠剤やカプセルなどの飲み薬を経口摂取する方法です。自宅で手軽に内服できることから、病院へ通院してがん治療を行う外来化学療法で採用されます。

場所を問わず内服できることと、点滴のように長時間拘束されないこと、注射針を刺さずに済むことなど複数のメリットがあります。

一方で、自宅でご自分または家族の方が抗がん剤を管理しなければならないため、飲み忘れや服用方法の間違いなどが起こりかねません。正しく服用されなかった場合、薬の効果が低減したり、副作用の症状が強く出たりするリスクがあるため、徹底した管理を行う必要があります。

2. 静脈注射・点滴

抗がん剤を静脈内への注射、あるいは点滴で投与する方法です。

全部を一回の注射で投与する場合は静脈内注射、一定の時間をかけて注入する場合は点滴を用います。薬剤を直接静脈に投与するため、即効性があるところが特徴です。

注射または点滴の針は前腕などに刺すのが一般的ですが、同じ箇所に何度も注射・点滴していると血管がもろくなって、点滴しにくくなったり、薬の一部が血管の外に漏れて周辺の組織が傷付いたりする原因となることがあるため、他の部位に投与することもあります。

3. その他の方法

上記の方法以外にも、筋肉注射や皮下注射などが採用されることがあります。

筋肉注射は栄養や成分を全身に送る血液が豊富にある筋肉内に直接注射するため、薬剤の吸収速度は後述する皮下注射よりも早いです。主に刺激のある薬剤や、吸収性の悪い薬剤を投与する場合に用いられます。

皮下注射は皮下組織に薬剤を投与する方法です。前述した方法の中でも特に吸収性が低い方法ですが、持続性があるところが特長です。

この他にも、腫瘍に直接薬を投与する腫瘍内投与や、がんのある場所につながっている動脈に薬を注入する動脈注射、お腹の中や腰骨の中、膀胱の中などに薬を注入する方法などがあります。

どの方法を選択するかは、がんの種類やがんのある場所によって医師が決めます。

4. 主な副作用

化学療法はがん細胞だけを選択して効果を発揮するのではなく、活発に増殖する全ての細胞に対して作用します。そのため細胞の分裂・増殖によって機能しているその他の組織や器官にも少なからず影響を及ぼします。

こうした作用を、がん細胞に対する効果を指す主作用に対し、副作用あるいは薬物有害反応と呼んでいます(※)。副作用の発生の仕方や発生率は、使用する抗がん剤の種類や量、投与期間などによって異なりますが、ここでは一般的な副作用を説明します。

※参考:国立研究開発法人国立がん研究センター.「薬物療法(抗がん剤治療)のことを知る」P4.https://ganjoho.jp/public/qa_links/book/public/pdf/31_139-149.pdf,(参照 2024-06-11).

1. アレルギー反応

アレルギー反応は抗がん剤を投与した直後から発生する症状で、皮膚に発疹やかゆみなどが現れます。人によっては血圧の低下や不整脈、呼吸困難などを起こすこともあるため、投与直後に気になる症状が現れたら、すぐに医師や看護師に伝えましょう。

アレルギー反応は初めて薬を使ったときに起こりやすいです。

2. 吐き気・嘔吐

薬剤が脳の嘔吐中枢を刺激したり、口や消化管の粘膜などの正常な細胞に影響をもたらしたりすると、吐き気や嘔吐などの症状が現れます。吐き気や嘔吐が現れるタイミングは、投与して数時間以内であったり、数日たってからであったりとさまざまです。

吐き気や嘔吐の症状が出た場合、医師から吐き気を抑える薬が処方される他、栄養や水分を補給するための点滴などが行われることもあります。

3. 下痢

薬の影響で腸の粘膜が荒れた場合、下痢の症状が出ることがあります。下痢症状については、消化の良い食事と十分な水分補給が対処法となりますが、医師から下痢止め薬が処方されることもあります。

下痢の症状は一般的に抗がん剤を投与してから2週間以内に起こるケースが一般的です。

4. 便秘

薬の影響が腸の動きを司る神経に作用した場合、便秘になることがあります。いつもより多めに水分を補給したり、無理のない範囲での運動をしたりといった対策が効果的です。

便秘の症状は施術を行った当日から現れる傾向にあります。

5. 口内炎

抗がん剤が口内の粘膜に作用すると、口内炎ができる場合があります。

口内炎を防ぐには、治療を開始する以前から口内を清潔に保ち、虫歯や歯周病を治しておくことが大切です。また口内が乾燥していると発生・悪化しやすいので、適宜うがいをするのも予防につながります。

口内炎の症状がひどい場合は、炎症を抑えるうがい薬や塗り薬などが処方されることもあります。

6. 貧血

薬剤によって血液を作る骨髄の造血幹細胞の機能が低下した場合、赤血球の減少や消化管からの出血が起こり、貧血の原因となることがあります。

なお出血が原因の場合は止血を行い、重度の場合は輸血を行うこともあります。

7. 出血傾向

薬の影響で血小板が減少すると、出血しやすくなったり、血が止まりにくくなったりします。そのため、日頃から転倒やケガなどに注意して行動する必要があります。

8. 脱毛

薬の影響が毛根に及ぶと、髪の毛が抜けやすくなります。

毛の抜け方には個人差があり、頭髪だけでなくその他の体毛が抜けることもあります。脱毛は治療を開始してから3~4週間後当たりに出てくるケースが多いです。そのタイミングに備えてウィッグなどを準備する方もいます。

9. 骨髄抑制

化学療法によって骨髄の機能に障害が発生すると、白血球や赤血球、血小板が減少する骨髄抑制という症状が起こります。特に白血球が減少すると、細菌やカビに対する抵抗力が低下するため、感染症に罹るリスクが高くなります。そのため、日頃から感染症対策をしっかり行うことが大切です。

骨髄抑制は治療を開始して1~2週間後に出やすいといわれています。

化学療法と他の治療法の違いを解説

がんの治療法にはいろいろな種類があり、それぞれ期待できる作用が異なります。
ここでは化学療法とその他の方法との違いについて解説します。

1. 手術療法

手術療法は外科手術を行ってがんの病巣を物理的に切除する方法です。

がん細胞は周辺の正常な組織に転移している可能性があるため、病巣だけでなく、周辺の組織も含めて切除するのが一般的です。ただ、目に見えない病巣は切除できないため、全身に作用する化学療法と併用することで再発のリスク低減を目指します。

手術療法が適切に行われた場合、がんを直接的に取り除けるため、根本的な治癒を期待できます。

また他の方法に比べて、副作用のリスクが少ないところも利点です。ただし病巣のある位置や大きさによって不可となる場合があること、体への負担が大きいことなどがネックとなっています。

2. 放射線療法

放射線療法とは、がん細胞に放射線を照射し、DNAにダメージを与えて破壊する方法のことです。

放射線は活発に分裂する細胞に対して強力な効果を発揮するため、分裂が活発ながん細胞の破壊に適しています。手術療法と同じ局所療法の一種ですが、メスを使わないぶん、体への負担が少ないところが利点です。

また、放射線療法はがんの治癒だけでなく、痛みなどのがん症状の緩和にも適していることから、患者さんのQOL向上に有効です。

一方で、放射線療法には副作用が伴うことと、放射線照射による肺炎や直腸炎、膀胱炎といった慢性的な後遺症が残るリスクが懸念されています。さらに、放射線療法は特定の部位に限定して照射されるため、転移や再発防止のために、全身に作用する化学療法と併用されるケースがみられます。

3. 免疫療法

免疫療法とは、化学療法と上記2つに次ぐ第4のがん治療法として注目されている方法です。

人間が元々持ち合わせている免疫力を利用し、がん細胞に対する免疫反応を活性化させることを目的としています。免疫療法のメリットは、他の方法に比べて正常な細胞への影響を抑えられるところです。

また施術そのものが比較的短時間で終わること、副作用が軽度で済む場合が多いことなどから、体への負担が少ないところも大きな利点です。

さらに免疫療法はがんの種類や部位、進行度などによらないため、あらゆるがんに対する効果を期待できます。

免疫療法には複数の方法がありますが、瀬田クリニック東京では患者さんの血液から免疫細胞を採取し、人工的に数を増やしたり、効率的にがんを攻撃するよう教育したりしてから、再び体内に戻す免疫細胞治療を行っています。

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がん治療法には、抗がん剤を使った化学療法の他にも複数の種類がある

抗がん剤を用いた化学療法は、がん細胞を破壊して治癒を目指したり、がんを縮小させて症状を緩和させたりすることを目的とした方法です。用いられる薬剤は複数あり、それぞれ作用が異なることから、がんの種類や進行度などによって単一、あるいは複数の薬剤が使用されます。

がんの病巣を取り除く手術療法や、放射線を照射する放射線療法、患者さん自身の免疫を高めてがんと闘う免疫療法などが行われることもあります。どの方法が採用されるかは、がんの種類や大きさ、位置、進行度の他、患者さんの希望によって決定されるため、医師とよく話し合って慎重に検討することが大切です。

瀬田クリニックでは、1999年から患者さまのがん細胞の性質・特徴を遺伝子レベルで調べ、個別化医療として一人ひとりにあったがん免疫細胞療法の治療を専門医療機関として行っております。

よりご自分に合ったがん治療をお望みの方は、ぜひ瀬田クリニックへご相談ください。

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