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抗がん剤とは?基本的な知識と抗がん剤治療のメリット・デメリット、その他の治療法との比較を解説

投稿日:2024年8月9日

更新日:2024年8月9日

抗がん剤とは、がん細胞の増殖を抑制するために用いる薬剤のことです。抗がん剤を用いた治療法は化学療法と呼ばれており、手術療法・放射線療法と並んでがん治療の三大柱といわれています。

本記事では抗がん剤治療の基礎知識や、利用するメリット・デメリット、主な副作用、その他の治療法との比較について解説します。

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抗がん剤治療とは?

抗がん剤治療とは、がん細胞に直接ダメージを与える薬剤を使用した治療法のことで、化学療法とも呼ばれています。

がん細胞は正常な細胞の中にある遺伝子が変異したもので、無秩序に増え続けるのが特徴の一つです。その分裂・増殖スピードは正常な細胞より早く、やがて細胞のかたまりである腫瘍を形成します。

抗がん剤は際限なく増え続けるがん細胞の分裂・増殖を妨げることで、治癒または症状の緩和を目指すものです。その効果はさまざまながんに適応しますが、よく効くがんもあれば、あまり効き目のないがんもあります。

抗がん剤の主な種類

がん治療に用いられる薬剤の主な種類と、それぞれの特徴を説明します。

(1)抗生物質

抗生物質は細胞の増殖に必要なDNAやRNAの合成を阻害するはたらきのある薬剤です(※)。土壌などに含まれるカビなどの微生物から作られたもので、代表的な製剤に、ドキソルビシン(アドリアシンやドキシル等)やエピルビシン(ファルモルビシン)、アムルビシン(カルセド)などがあります。

※参考:日経メディカル.「抗がん性抗生物質(アントラサイクリン系)」.https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf8310.html,(参照 2024-06-11).

(2)アルキル化剤

アルキル化剤はがん細胞のDNAにアルキル基を付着させ、DNAの正常な結合を防ぐことで分裂・増殖を抑える薬剤です(※)。代表的な製剤に、シクロホスファミド(エンドキサン)やダカルバジン(ダカルバジン)、テモゾロミド(テモダール)などがあります。

※参考:日経メディカル.「アルキル化剤」.https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf830d.html,(参照 2024-06-11).

(3)植物アルカロイド

植物アルカロイドは天然植物から作られる薬剤で、作用の仕組みによって微小管阻害剤とトポイソメラーゼ阻害剤の2種類に分類されます。

前者は、細胞分裂が行われる際、細胞内にコピーされたDNAを引き寄せる微小管のはたらきを妨げる作用を持つのが特徴です。一方、後者は細胞分裂の過程でDNAの切断や再結合を助けるトポイソメラーゼのはたらきを阻害する作用があります。

代表的な製剤に、ビンクリスチン(オンコビン)、パクリタキセル(タキソール等)、イリノテカン(オニバイド)などがあります(※)。

※参考:くすりの博物館.「植物に由来する抗がん剤」.https://www.eisai.co.jp/museum/curator/saijiki/140627s.html,(参照 2024-06-11).

(4)分子標的薬

分子標的薬は、がん細胞だけを狙って攻撃する薬剤です(※)。従来の抗がん剤は正常な細胞にまで攻撃を行うため、副作用が起こりやすいというデメリットがありましたが、分子標的薬は分子レベルでがん細胞を捉えて攻撃するため、副作用のリスクを低減できます。

ただし、使用する薬剤によっては重い副作用を起こすことが確認されているため、医師と相談して取り入れていくことになります。

※参考:がん情報サービス.「薬物療法 もっと詳しく」”3)分子標的薬”.https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/drug_therapy/dt02.html,(参照 2024-06-11).

(5)代謝拮抗薬

代謝拮抗薬は細胞の増殖にDNAの合成を妨げる薬剤です(※)。DNAの成分に含まれるピリミジン塩基と似た構造を持っており、同物質の代わりに細胞内に取り込まれることで、細胞の増殖を阻害します。

代表的な製剤にフルオロウラシル(5-FU)、テガフール(ティーエスワン)、シタラビン(キロサイド)などがあります。

※参考:日経メディカル.「代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)」.https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf8319.html,(参照 2024-06-11).

(6)ホルモン剤

ホルモン剤は、がんの栄養源となるホルモンの生成を妨げる薬剤です(※)。主に性ホルモンが発症の原因となる乳がんや前立腺がんなどの治療に用いられます。

代表的な製剤にタモキシフェン(ノルバデックス等)があります。

※参考:国立がん研究センター中央病院.「ホルモン療法の手引き(タモキシフェン)」p4.https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/pharmacy/010/pamph/breast_cancer/100/breast_cancer_100.pdf,(参照 2024-06-11).

(7)プラチナ製剤

DNAに結合することで、DNAのコピーを阻害したり、がん細胞の自滅を誘導したりする薬剤です(※)。薬剤の構造中に白金(プラチナ)を含むため、プラチナ製剤と呼ばれています。

代表的な製剤に、シスプラチン(ランダ)、カルボプラチン(パラプラチン)などがあります。

※参考:日経メディカル.「白金製剤(プラチナ製剤)」.https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf8316.html,(参照 2024-06-11).

(8)生物学的応答調節剤

人の免疫や身体の調節機能に働きかけ、それぞれの機能を向上させる薬剤です。具体的には、リンパ球の一種であるナチュラルキラー細胞を活発化したり、患者さんの免疫反応を間接的に起こしたりすることで、がん細胞を攻撃します。

代表的な製剤にインターフェロン(IFNα、IFNモチダ等)、インターロイキン(イムネース等)などがあります。

がん治療に抗がん剤を選択するメリット・デメリットを解説

抗がん剤を用いたがん治療にはメリットとデメリットの両面があります。ここではそれぞれのポイントを解説します。

1. 抗がん剤のメリット

抗がん剤を治療に用いるメリットは大きく分けて4つあります。

(1)全身に作用する

手術療法や放射線療法は、がんのある部分にピンポイントで作用するため、目に見えるがんに効果を発揮します。しかし、全身に病変が及ぶ場合や、目に見えない病巣がある場合は、手術や放射線による治療は難しくなります。

一方、抗がん剤は全身のがんに働きかけることが可能です。そのため、全身に病変が及ぶ白血病などのがんや、あちこちに転移したがん、目に見えないがんへの作用が期待できます。

(2)転移・再発を予防できる

腫瘍は手術で取り除けますが、目に見えないほど微細ながん細胞は切除できません。微細ながん細胞は他の臓器などに転移し、がんの再発につながるリスクとなります。

全身に作用する抗がん剤を使用すれば、微細ながんにもアプローチできるため、転移・再発の予防に役立ちます。

(3)がんの進行を妨げられる

手術や放射線による治療が難しいケースでも、抗がん剤を使用すればがん細胞の分裂・増殖を抑制して進行を遅らせられます。がんの進行を抑えれば、治療を行わない場合より長く生きられたり、症状が緩和されて患者さんの生活の質(QOL)が向上したりすることが期待できます。

(4)外来治療が可能

抗がん剤には、飲み薬と注射・点滴の2タイプがあります。錠剤やカプセルといった飲み薬の場合、自宅でも内服できるため、外来で通院しながら治療を続けられます。

2. 抗がん剤のデメリット

抗がん剤を使用した治療には以下のようなデメリットがあります。

(1)全てのがんに効くわけではない

前述の通り、抗がん剤は全てのがんに有用な効果を発揮するわけではなく、がんの種類によって効き目に差があります。

抗がん剤はさまざまながん治療に効果的であることは確認されていますが、万能ではない点を念頭に置いておきましょう。

(2)単体では治癒できないケースがある

抗がん剤だけを使って治癒を期待できるがんがある一方、それ単体で完全な治癒を目指せないケースも少なくありません。その場合、化学療法だけでなく手術療法や放射線療法など、その他の治療法との併用が必要になります。

(3)副作用が出る場合がある

抗がん剤はがん細胞だけに作用するわけではなく、正常な細胞にも攻撃を行います。その影響で吐き気や発熱、脱毛といったさまざまな副作用が起きる場合があります。

どのような症状が出るかは使用した薬剤の種類や体質などによって異なりますが、治療中はずっと症状が続くケースが多いため、患者さんのQOL低下につながりかねません。

副作用について、詳しくは次節で説明します。

抗がん剤治療の副作用

抗がん剤を使用することによって起こり得る主な副作用とその対策を説明します。

1. 脱毛

毛母細胞や毛包幹細胞といった発毛に関する細胞は、分裂・増殖のスピードが速いぶん、抗がん剤の影響を受けやすいといわれています。脱毛症状は治療開始から2~3週間くらいに出始め、その後1~2カ月くらいで全脱毛することもあります(※)。

脱毛は一時的な症状なので、治療が終われば約半年程度で回復しますが、治療中の見た目が気になる場合はウィッグやかつらなどを準備すると良いでしょう。

※参考:国立がん研究センター東病院.「脱毛について」.https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/division/pharmacy/kouganzai/kouganzai_qa_Specifics/supportivecare_hairloss.html,(参照 2024-06-12).

2. 吐き気・嘔吐

薬剤が消化管の粘膜や脳内の神経を刺激すると、吐き気や嘔吐といった症状が起こることがあります。

吐き気・嘔吐には、治療開始から24時間以内に起こる急性嘔吐と、24~48時間程度から起こる遅発性嘔吐、副作用で嘔吐したことに対する嫌悪感から起こる予測性嘔吐の3タイプがあり、それぞれのタイプに適した制吐剤が処方されます(※)。

また、治療前の食事は消化の良いものにする、治療後は固形食品を避けて水分補給をしっかり行うなど、食生活に注意することで吐き気や嘔吐の症状を和らげられます。

※参考:国立がん研究センター東病院.「吐き気・嘔吐について」.https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/division/pharmacy/kouganzai/kouganzai_qa_Specifics/supportivecare_antiemetic.html,(参照 2024-06-12).

3. 感染症

薬剤の影響で骨髄機能が低下すると、白血球の数が減少し、感染症に罹るリスクが高くなるといわれています。白血球の数は治療開始後、7~10日頃から減少し始め、2週間以内に最低値になった後、3週間程度かけて元に戻っていきます(※)。

感染症に罹った場合は抗生物質が処方されますが、日頃から手洗い・うがいを実施して予防に努めることが大切です。

※参考:国立がん研究センター東病院.「感染症について」.https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/division/pharmacy/kouganzai/kouganzai_qa_Specifics/supportivecare_infection.html,(参照 2024-06-12).

4. 下痢

化学療法によって消化管の運動を司る副交感神経に影響が及ぶと、腸のぜん動運動が活発になり、下痢症状が出ることがあります。また消化管粘膜に障害が発生したり、白血球が減少したときに腸管感染が起こったりすることも、原因の一つと考えられています。

下痢は治療開始日直後から2週間くらいまで(※)に症状が現れることが多いため、症状が出たら消化の良いものを食べたり、水分・ミネラルを小まめに補給したりすることを心掛けましょう。

※参考:国立がん研究センター東病院.「下痢について」.https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/division/pharmacy/kouganzai/kouganzai_qa_Specifics/supportivecare_diarrhea.html,(参照 2024-06-12).

5. 便秘

薬剤の影響で腸管運動が低下すると、腸の動きが鈍くなったり、便が硬くなったりして便秘がちになります。症状がひどい場合は、腸の動きを活発にする薬や、便を軟らかくする薬などが処方されることもあります。

また普段の生活では水分補給をしっかり行うことや、無理のない範囲での運動を習慣化することが大切です。

6. 皮膚障害

分子標的治療薬を使用すると、肌に乾燥やひび割れ、吹き出物などが起こるざ瘡様皮疹(ざそうようひしん)という皮膚トラブルが起こる場合があります。症状が現れたら、患部を清潔に保つことと、スキンケアによる保湿・保護をしっかり行うことを意識しましょう。

7. 味覚障害

抗がん剤を投与すると、味覚や嗅覚が変化する場合があります。いつもと違う味がしたり、食べ物のにおいが気になったりすると食欲が低下し、栄養不足になるリスクが高くなります。

味覚や嗅覚がおかしいと感じたら、濃い調味料を使う、料理を冷ましてにおいを和らげるなどの工夫を採り入れてみましょう。

8. 妊孕性

妊孕性(にんようせい)とは、妊娠するために必要な能力のことです。男性は精巣、女性は卵巣や子宮がこれに該当しますが、抗がん剤で治療すると、男性は無精子症や性欲低下、女性は不妊や無月経などの症状が発生する場合があります。

また女性の場合は、卵巣機能の低下に伴う月経不順や月経停止により、更年期症状が現れることもあります。近年ではがん治療に伴う妊孕性の低下を防ぐ温存療法が複数確立されているため、治療前に医師と相談するのがおすすめです。

抗がん剤治療とその他の治療法の比較

がん治療には、抗がん剤治療だけではなく複数の治療法があります。ここでは抗がん剤治療以外の治療法について説明します。

1. 手術療法

外科手術を行い、がんの病巣を切除する方法です。適切な方法で切除すればがんを治癒することが可能であるため、ケースによっては化学療法よりも高い効果を期待できます。

ただメスによる切開を伴うぶん、患者さんの体への負担が大きいところが難点です。そのため、近年では患者さんへの負担をなるべく抑えられるよう、腹腔鏡下手術などが行われています。

2. 放射線療法

放射線を照射してがんの増殖を妨げ、死滅を目指す治療法です。

放射線は細胞分裂を活発に行う細胞に効くという性質を持っているため、正常な細胞よりも分裂・増殖のスピードが速いがん細胞に適した治療方法です。また手術療法と同じく、がん細胞にピンポイントで働きかけられるため、全身に作用する抗がん剤より高い効果を期待できます。

ただし化学療法と同じく、がん細胞だけでなく正常な細胞を傷付けてしまうリスクもあります。

3. 免疫療法

免疫療法とは、人の身体に元々備わっている免疫を強化することによってがん治療を行う方法です。

免疫療法自体は1970年代から注目されていましたが、特に大きなターニングポイントとなったのが、2018年にノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑教授が開発した免疫チェックポイント阻害薬の存在です(※)。

免疫チェックポイント阻害薬とは、免疫ががんを攻撃する力を保つために用いる薬剤のことで、がん細胞への攻撃にブレーキがかかるのを防ぐ作用を発揮します。免疫は全身に作用するため、化学療法と同じく、さまざまながんへのアプローチを期待できるところが特徴です。

人が本来持ち合わせている免疫を強化するという性質上、副作用のリスクが少ないという点で、化学療法より利点の大きい治療法とされています。

※参考:独立行政法人国立病院機構 鹿児島医療センター.「免疫チェックポイント阻害剤について」.https://kagomc.hosp.go.jp/cnt1_00478.html,(参照 2024-06-12).

抗がん剤治療と他の治療法による集学的治療について

複数の治療法を組み合わせることを集学的治療といいます。

2024年現在は従来のがん治療法(手術療法・放射線療法・化学療法)に免疫療法を加えた4つの治療法が確立されており、がんの種類や病状、進行度などに応じて2つ以上の方法を組み合わせることで、より効果的な治療を期待できるといわれています。

例えば手術療法で切除しきれなかったがん細胞を免疫療法で攻撃して転移・再発を防ぐ、放射線療法と化学療法を組み合わせた化学放射線療法により、放射線が届かない部位の転移を防ぐなどです。

また免疫療法は人の免疫を強化してアプローチする治療法であることから、どの療法とも相性が良く、集学的治療のベースになり得る方法とされています。

どの治療法を組み合わせるかは医師と相談の上で決定しますが、療法によっては対応していない病院もあるので、事前にリサーチしておいた方が良いでしょう。

抗がん剤は、がん細胞の増殖を抑える薬剤のこと

抗がん剤は、がん細胞の分裂・増殖を抑えることでがんの治癒や延命、症状の緩和を目指す薬剤の総称です。薬剤は血液で運ばれて全身に作用するため、目に見えない病巣や全身に病変のあるがん、転移したがんにも有用な効果を発揮します。

そのためがん治療では、その他の治療と併用する集学的治療を行うケースが多くなっています。抗がん剤と併用する治療法には手術療法や放射線療法、免疫療法などがあるため、医師と相談の上でご自分に適した治療法を選択するのが理想的です。

瀬田クリニックでは、患者さん一人ひとりの体質やがんの種類などに応じて適切な治療法を選択する、個別化医療を実施しています。

ご自分に適した方法でがん治療に取り組みたいとお考えの方は、瀬田クリニック東京までご相談ください。

免疫細胞治療について詳しくはこちら

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