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化学療法とは? 
特徴やメリット・デメリットを詳しく解説

投稿日:2024年6月26日

更新日:2024年6月26日

がんの治療方法の一つに化学療法があります。化学療法とはどのような治療方法かご存知でしょうか。化学療法で使用される薬剤にはさまざまな種類の薬剤があり、化学療法にはメリットもあればデメリットもあります。

この記事では、化学療法の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。化学療法を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてがんの治療方法を検討してみてください。

化学療法とは抗がん剤や化学物質を使ったがんの治療方法

化学療法とは、抗がん剤や化学物質などの化学療法剤を用いたがんの治療方法です。薬物療法の一つであり、手術療法や放射線治療とともに「がん治療の3本柱」と呼ばれています。

化学療法の特徴は、点滴や注射、飲み薬などの方法で薬剤を投与し、がん細胞を攻撃したり増殖を防いだりすることです。化学療法で使用される薬剤は、身体に投与されると血液の中を通って全身に行き渡り、がん細胞を攻撃して死滅に追い込みます。

化学療法は全身に広がって存在するがんの治療に適している

化学療法は、全身のさまざまな部位に転移したがんの治療に適しています。一般的ながんは、発生したばかりの頃は特定の部位にとどまりつつ増殖しますが、病気が進行すると全身のさまざまな部位へ転移します。

がんの治療方法としては手術療法や放射線治療もありますが、これらは基本的には局所的ながん治療に採用され、全身へ広がったがんには適用されません。手術によって全身のがん細胞を切除することは難しく、放射線を全身に照射すると副作用が強く出過ぎてしまう可能性があるからです。

一方で化学療法の場合は、全身に広がってしまったがんを効率良く攻撃できます。がんが発見された時点で転移が進んでしまっている場合や、病気の影響が全身へ及ぶ場合は、化学療法が採用されるケースもあるでしょう。

化学療法に関する研究は日々進んでおり、がんを攻撃するさまざまな化学療法剤が開発されてきました。医師の診断の下、病気の状況に適した薬剤を選択できるのはもちろん、複数の化学療法剤を組み合わせて治療を進めるケースもあります。また状況によっては、化学療法を行ってから手術を実施するなど、局所療法を組み合わせることも可能です。

化学療法の目的はがんの増殖を防ぎ症状を緩和させること

化学療法には、さまざまな目的があります。大きな目的は、がん細胞を死滅させて生命を維持することです。その他、がんの増殖を遅らせることや症状を緩和させること、副作用をできる限り抑えつつ生活の質(QOL)を維持することを目的として行うケースもあります。

化学療法と放射線治療を併用する場合は、がんの再発や転移を予防することが大きな目的です。また手術を併用する場合は、大きながんを小さくして切除しやすくしたり、手術による出血を減らしたりする目的で化学療法を実施します。

さらに手術後、目に見えない小さながんが残っている可能性を考慮し、再発を予防したり、転移・増殖を防いだりする目的で行うケースもあります。一口に化学療法といっても、実施する目的やタイミングは状況によって異なるため、医師の説明をよく聞き、不明点を解消した上で治療を進めましょう。

化学療法剤の種類ごとの特徴を紹介

化学療法剤には注射や点滴で投与する薬剤、飲み薬など、さまざまな種類があります。具体的には代謝拮抗剤やアルキル化剤、抗腫瘍性抗生物質、微小管阻害薬などが挙げられます。投与する期間や量などは薬剤によって異なるため、医師の指示に従って治療を受けましょう。ここからは、化学療法剤の種類ごとの特徴を紹介します。

1. 代謝拮抗剤

代謝拮抗剤とはがん細胞の中に存在する酵素を利用して、増殖を抑える薬剤です。がん細胞が増殖する際は、酵素のはたらきが必要となります。代謝拮抗剤の特徴は、この酵素のはたらきを阻害し、がん細胞の増殖を抑えることです。

代謝拮抗剤はがん細胞が分裂する際に効果を発揮するため、そのタイミングを狙って継続的に投与しなければなりません。効果をさらに高められるよう、他の薬剤と組み合わせるケースもあります。がんの増殖防止に効果的ですが、正常な細胞の中にある酵素にも影響を与えるため、ある程度の副作用は発生してしまいます。

2. アルキル化剤

アルキル化剤は、遺伝子情報を伝達する役割を持つDNAに影響を与える薬剤です。通常DNAは塩基が2本の鎖のように結合して、螺旋状になっていますが、アルキル化剤はDNAとの間に異常な結合を生成し、遺伝子情報の伝達を阻害します。この効果により、がん細胞が増殖しない状態となり、死滅を促せます。

3. 抗腫瘍性抗生物質

抗腫瘍性抗生物質は、細胞が増殖するのを防ぐことで、がん細胞を死滅へ追い込む薬剤です。一般的には点滴によって投与するもので、副作用などを考慮しながら種類や量を決定します。細菌やかびに効果のある抗生物質を基にした薬剤や、土壌に存在する微生物に由来する薬剤など、さまざまな種類の抗生物質があります。

4. 微小管作用薬

微小管作用薬とは、がん細胞が分裂する際に必要となる微小管のはたらきを阻害する薬剤です。薬剤が微小管に作用することで、がん細胞のDNAが複製されるのを防止します。

微小管作用薬は、作用点の違いに着目して、タキサンとビンカアルカロイドの2つに分けられます。また微小管は神経細胞のはたらきと密接に関わっており、薬剤を使用することで、手足のしびれなどの副作用が出るケースもあるため、事前によく説明を聞いておきましょう。

5. 白金製剤

白金製剤は、DNAと結合して、がんのDNAがコピーされるのを防ぐ薬剤です。化学療法の中でも重要な役割を持っており、薬剤の中に白金(プラチナ)を含んでいます。DNAの複製を阻害しつつ、がん細胞を自滅へ導く効果も期待できます。

6. トポイソメラーゼ阻害剤

トポイソメラーゼ阻害剤は、DNAの複製に必要な酵素であるトポイソメラーゼのはたらきを阻害する薬剤です。細胞分裂を阻害することで、がんを死滅に追い込みます。トポイソメラーゼにはI型とII型の2つが存在し、薬剤によってそれぞれ型が異なります。

化学療法による治療の進め方

化学療法を選択する場合は、どのように治療を進めるのでしょうか。ここでは化学療法剤の投与方法や投与スケジュールなどを紹介します。

化学療法剤の投与方法

化学療法剤は内服や静脈内注射・点滴、皮下注射・筋肉注射などの方法で投与されます。内服とは口から薬剤を飲み、治療を進めることです。飲んだ薬剤は消化管粘膜で吸収され、血液の中を通って全身へ行き渡ります。内服するタイミングによって吸収量や吸収速度が変わったり、他の薬と一緒に飲むことで効果が弱まったりするため、医師の指示に従って治療を進めなければなりません。

静脈内注射や点滴によって、薬剤を投与するケースもあります。静脈内注射は一回の注射によって薬剤を全て投与する方法で、点滴は一定の時間をかけて薬剤を投与する方法です。薬剤は腕の静脈から注入するのが一般的ですが、何度も同じ場所から注入している場合は血管が弱くなっていることもあるため、別の場所から注入することもあります。

内服や点滴以外では、皮下注射や筋肉注射という方法が挙げられます。がんの種類や状況、部位によっては、腫瘍に直接薬剤を注入したり、動脈注射を採用したりすることも可能です。医師が病気の状況を見極めた上で、薬剤が届きやすい方法を選択するため、説明をよく聞きながら治療を受けましょう。

化学療法剤の投与スケジュール

投与スケジュールは、がんの状況や使用する化学療法剤の種類などによって異なりますが、基本的には投薬期間と休薬期間を計画的に設けます。投薬期間とは薬剤を投与する期間、休薬期間とは投与を行わず効果を待つ期間のことです。

副作用を抑えつつ、正常な細胞を回復させることも考慮する必要があるため、休薬期間を設けずに連続して薬剤を投与することはありません。投薬期間と休薬期間のセットを一サイクルとして、何サイクルか継続することでがんを攻撃します。

化学療法中の感染予防

化学療法中は、感染症に注意しなければなりません。がん治療のために薬剤を使用することで、骨髄の機能にも影響が出てしまい、感染症にかかるケースもあります。代表的な感染症は貧血や白血球減少、肝障害、腎障害などです。口の中や皮膚、肺などで感染症が発生したり、発熱したりすることもあります。

感染症を予防するためには、小まめな手洗いやうがい、マスクの着用、身体の清潔を保つことなどが大切です。人の多い場所へ行くことを避けたり、ケガをしないように注意したりしながら、症状が出た場合はすぐに医師に相談しましょう。

化学療法の4つのメリット

化学療法にはさまざまなメリットがあります。ここからはそれぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

1. がんの進行を抑止できる

がんの進行を抑止できることは、化学療法の大きなメリットです。がんの転移が進んでいたり再発したりしている場合でも、化学療法を受けることでがんの進行を抑止し、生活の維持を目指せます。またがんが小さくなれば、手術で取り除くことも可能です。

2. 複数の化学療法剤を併用できる

複数の薬剤を併用できることも化学療法のメリットの一つです。さまざまな効果のある化学療法剤を同時に用いることで、副作用を抑えられるのはもちろん、がん細胞を効率良く攻撃できます。

3. 再発や転移を防げる

化学療法によって、がんの再発や転移を予防することも可能です。手術療法では原発巣のがんを切除したつもりでも、目に見えにくい小さながんが残ってしまう可能性もあります。化学療法剤を投与すれば全身を巡るため、検査で発見できなかった微細ながんを排除することも可能です。手術や放射線治療の後に化学療法剤を投与して、再発のリスクを軽減するケースもあります。

4. 通院でも治療を受けられる

化学療法は入院・通院のどちらの方法でも受けられます。病気の状況によっては、自宅で過ごしながら通院で治療を受けられるケースもあります。どちらの方法を選ぶべきかは、副作用やがんの進行状況によっても異なるため、医師と相談して決めましょう。

化学療法の2つのデメリット

さまざまなメリットがある一方で、化学療法には以下のようなデメリットもあります。治療を受ける前に確認しておきましょう。

1. 他の治療方法を併用しなければならない場合がある

化学療法のみでがんを完全に治療することは、簡単ではありません。リンパがんや血液がんなど、一部のがんに対しては、化学療法だけで治療が進められるケースもあります。しかしその他のがんに対しては手術療法や放射線治療を併用するのが一般的です。化学療法が効果を発揮しないタイプのがんも存在するため、正確な診断の下、適切な治療を受けましょう。

2. 副作用が生じる

副作用が生じることは、化学療法のデメリットの一つです。化学療法剤は血液を通って全身を巡るため、がん細胞以外の正常な細胞にまで影響を与えてしまいます。副作用の具体的な例は後述します。

ただし副作用を抑える薬剤なども存在するため、症状が重い場合や苦しい場合は医師に相談することが大切です。

化学療法による副作用について解説

化学療法剤を投与すると、さまざまな副作用が発生します。代表的な副作用は以下の通りです。

  • ●アレルギー反応
  • ●吐き気
  • ●嘔吐
  • ●食欲不振
  • ●下痢
  • ●便秘
  • ●口内炎
  • ●だるさ
  • ●脱毛
  • ●手足のしびれ

どのような副作用が現れるかは、使用する化学療法剤などによって異なります。さまざまな対処法があるため、気になる症状が出た場合はすぐに医師に相談しましょう。

化学療法と他の治療方法の掛け合わせ

前述の通り、化学療法と他の治療方法を掛け合わせて、がん治療を行うケースもあります。複数の治療方法をうまく組み合わせることで、身体への負担をできる限り軽減しながら、治療効果を高めることが可能です。

どのような手法を組み合わせるかは状況によって異なりますが、ここでは一般的な組み合わせについて見ていきましょう。

1. 化学療法×手術療法

化学療法と手術療法を組み合わせることには、二つの目的があります。一つ目の目的は、化学療法によって大きながんを小さくして、切除しやすくすることです。がんを小さくすることで、正常な組織をできる限り残しながら手術を進められます。

二つ目の目的は、がんの再発リスクを減らすことです。手術後に化学療法剤を投与することで残っているがんを排除し、転移や再発のリスクを排除します。

2. 化学療法×放射線治療

化学療法と放射線治療を掛け合わせるケースもあります。二つの手法を併用する目的は、放射線を照射する部分の治療効果を高めることや、放射線治療後の再発を防止することです。この掛け合わせは「化学放射線療法」とも呼ばれます。

3. 化学療法×免疫療法

化学療法と免疫療法を組み合わせて、がんを治療するケースもあります。この二つを掛け合わせる大きな目的は、がん細胞の影響や化学療法の副作用による免疫力の低下を防ぐことです。

人間の身体にはもともと免疫機能が備わっており、外側から侵入するウイルスを排除したり、内側で発生したがん細胞を攻撃したりしています。しかしがん細胞の影響により、免疫機能のはたらきが弱まってしまうケースがあります。そこで免疫療法を行うことで、免疫力を維持しながら治療を進めることが可能です。

「瀬田クリニック東京」でも免疫療法によるがん治療を行っています。患者さんお一人おひとりのがん細胞の特徴を調べ、さまざまな手法の中から適したものを提案しますので、がん治療でお悩みの場合はご相談ください。

化学療法のメリット・デメリットを知って治療を受けよう!

今回は化学療法の特徴やメリット・デメリットなどについて解説しました。

化学療法とは、抗がん剤や化学物質などを使ったがんの治療方法のことです。がんの進行を防止できる、全身に転移したがんにも適用できるなどのメリットがありますが、副作用が出やすいというデメリットもあります。医師の説明をよく聞いた上で治療を受けましょう。

「瀬田クリニック東京」では、がんの個別化医療を行っています。個別化医療とは、患者さんの免疫機能やがん細胞の遺伝子的な特性を把握した上で、治療を進めることです。丁寧な診断を基に化学療法と免疫療法を組み合わせるなど、一人ひとりに適した治療方法を提案しますので、お気軽にご相談ください。

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