悪性リンパ腫に対する免疫細胞治療の症例紹介
瀬田クリニックグループでがん免疫療法(免疫細胞治療)を受けられた悪性リンパ腫の方の症例(治療例)を紹介します。症例は治療前後のCT画像や腫瘍マーカーの記録など客観的データに基づき記載しています。
症例80歳 男性小線量放射線治療後に免疫細胞治療を併用し、がんが消失した例
治療までの経緯
2005年12月上旬頃より右側下顎前の歯ぐきに小さな潰瘍が出現し、その部分に軽い痛みがあったため、近医の歯科を受診しました。右下の唇側歯ぐきに2cmの潰瘍が認められ、生検の結果、慢性壊死性炎と診断されたため、消炎鎮痛剤と抗生剤を処方されました。しかし、その後次第に潰瘍は大きくなり、痛みも増したため、再度同じ部位の生検を行ったところ、最終的にびまん性大細胞B細胞型悪性リンパ腫と診断されました。高齢のため、リツキシマブ等の標準治療は希望されず、またCTでがんが骨破壊を伴うものであるとわかったことから、2006年1月31日から局所放射線治療単独で治療が開始されました。治療後、潰瘍面に大きな変化はありませんでしたが、粘膜の隆起の多少の軽減が認められました。しかしその後の照射は痛みのため、患者さんの希望で中止することになり、線量は通常の1/5以下の10Gyとわずかなものとなりました。2006年2月14日にその他の治療法選択肢としての免疫細胞治療を希望し、当院へ紹介されました。
治療内容と経過
2006年3月9日からアルファ・ベータT細胞療法を約2週間に1回の間隔で開始しました。2006年5月31日で1クール(6回)が終了し、CTとPETで検査したところ、いずれの検査でも治療前に確認されていたがんは消失していました(画像)。今後も月1回のアルファ・ベータT細胞療法を継続し、厳重に経過観察を行っていく予定です。
なお、初発後約8年経過しているものの、再発は見つかっておりません。