ストレスへの対処
臨床心理士コラム③ 臨床心理士・公認心理師 姜英愛
「ある日突然、がん患者さんになる」ということは、どなたにとってもショッキングでストレスフルな体験となると思われます。体験したこともないサイズと質を伴った「未知の」ストレスに見舞われるという感覚ではないでしょうか。
ストレスに対する反応は人それぞれです。前回のコラムで『選択するということ』についてご紹介いたしましたが、このストレスに対する対処方法もまた、選択の一つということになります。
ストレスへの対処について最も広く知られている考え方に、アメリカの心理学者ラザルスの提唱した「ストレスコーピングモデル」(1984)があります。コーピング(coping)という言葉のもととなっているcopeには「困ったことに対して上手く折り合いをつける」という意味合いがあります。
この理論によると、人がストレスの原因になり得る体験をした時、それをどうとらえて(認知的評)、どう対処するか(コーピング)によってその結果としてのストレス反応が変わってくる、ということになります。
つまり我々がストレスの原因そのものをなくすことができなくても、結果として生じるストレス反応を軽減する手立てがあるということです。
これをがん患者さんにあてはめてみると、がん患者さんであるという事実は変えられないけれども、そこからどうご自身のこころの負担を軽減してゆくのかについては工夫のしようがある、ということです。カウンセリングではこの工夫について、患者様と一緒に考えてゆく作業を行っております。
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