医療の略語シリーズ①『CR、PR、PD、SDってなに??』
瀬田クリニック東京 コンシェルジュスタッフブログ
医療現場ではさまざまな略語が数多く使用されています。当たり前のように使用されているものがありますが、患者さんが医師から略語を使って病状などを説明されたときに、略語の意味が分からなかったという経験がある方もいるでしょう。
そこで今回は、医療の略語シリーズ①として、がん治療効果の指標を表す『がん治療の効果測定基準~CR、PR、PD、SD~』についてご紹介するとともに、これらの医療用語に関するよくある質問についてもお答えします。
がん治療の効果測定基準「CR、PR、PD、SD」の意味
まず、がん治療を行う中で、耳にすることの多い医療用語のCR、PR、PD、SDには次のような意味があります。
名称 | 読み方 | 正式名称 | 状態 | 概要 |
---|---|---|---|---|
CR | シーアール | complete response | 完全奏効 | がんの兆候が全てなくなる (必ずしも治癒ではない) |
PR | ピーアール | partial response | 部分奏効 | 状態が改善した |
PD | ピーデー | progressive disease | 進行 | 状態が悪化した |
SD | エスデー | stable disease | 安定 | 変化が見られない |
国立がん研究センター「がん情報サービス」ホームページの用語集参照
がん治療に関連するその他の略語
がん治療に関連するその他の略語は上記以外にもさまざまなものがあります。ほんの一部ですが、以下にご紹介します。
名称 | 読み方 | 概要 |
---|---|---|
PET検査 | ペットケンサ | がん細胞が取り込みやすい物質を注射することで、がんが存在している可能性が高い部分を画像化する検査 |
DRE | ディーアールイー | 肛門から直腸へ指を入れて診察をする直腸診のことで、前立腺がんの診断法の一つ |
DLI | ディーエルアイ | ドナーリンパ球輸注の略で、他人のリンパ球を患者さんに輸血し、がん細胞を攻撃させる治療方法 |
LAK療法 | ラックリョウホウ | 血液中を流れる、主にNK細胞を中心とする免疫担当細胞を、体外で活性化した後に体内に戻す治療法 |
EBM | イービーエム | 科学的データに基づき、患者さんにとって最適な治療法を選択肢、実践していく考え方 |
がん治療の効果測定基準「CR、PR、PD、SD」に関するよくある質問
ここからは、治療の効果測定基準である「CR、PR、PD、SD」に関するよくある質問について解説していきます。
「奏効」とはどういう意味?
「奏効」とは、治療などの効果が現れることで、「奏効率」とは、抗がん剤などの薬物療法を行い、効果があった割合のことを言います。「奏効期間」とはその期間のことです。
国際的な基準である「RECIST」では、CT検査で病変が完全に消失したCR(完全奏効)と距離にして70%に縮小したPR(部分奏効)の合計で効果を判定します。これらの数値は過去の臨床試験の結果であり、あくまでも1つの目安と考えられます。
なおCRは腫瘍が完全に消失した状態、PRは腫瘍の大きさの合計が30%以上減少した状態、SDは腫瘍の大きさに変化がない状態、PDは腫瘍の大きさの合計が20%以上増加し、かつ絶対値でも5mm以上増加した状態や、新病変が出現した状態を言います(※)。
※参考:日本臨床腫瘍研究グループ.「固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン」P9~10.https://jcog.jp/assets/RECISTv11J_20100810.pdf,(参照 2024-06-17).
PRが持続する期間はどのくらい?
国際的な基準である「RECIST」が出現する前の腫瘍縮小効果の判定には、1986年WHOの判定基準を基にして定められた「日本癌治療学会固形がん化学療法直接効果判定基準」が用いられており、「直接効果判定基準」などとも呼ばれていました。
これによると、PR(部分奏効)は、50%以上の縮小が4週間以上持続したものとされています(※)。
※参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構.「固形がん化学療法直接効果判定基準(日本癌治療学会(抜粋)1986年版」P3.https://www.pmda.go.jp/drugs/2000/g001212/73ctdp_295-490.pdf,(参照 2024-06-17).
PRと判断された場合、治療は成功したと言える?
PRは状態が改善したことを表しますので、がんの兆候が全てなくなるCR(完全奏効)ではないものの、治療は成功したと言ってよいでしょう。
専門用語を正しく理解しましょう
がん治療にはさまざまな専門用語が用いられており、その用語の意味が分からないだけで大きな不安を感じることもあるかもしれません。非常に多くの用語があるため、全てを覚える必要はありませんが、気になる用語があれば医師に説明を求めたり、正しい情報を公開している医療系のサイトなどを確認したりすることをおすすめします。
瀬田クリニック東京では、これからこのような医療の略語を、少しずつみなさまにご紹介したいと思います。専門用語を正しく理解し、有効な治療を目指しましょう。
また専門用語に限らず、がん治療について気になる点やご質問がございましたら、遠慮なくご相談ください。
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