NKT細胞療法

NKT細胞は血液中にわずか0.1%程度存在し、がん細胞などに対して直接攻撃する機能を有していますが、生体内における存在量は少ないため直接的な細胞障害活性の効果は限定的です。一方、糖脂質α-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)が特異的に結合して認識・活性化し、大量のサイトカインを産生することで他の免疫細胞に働きかけて抗腫瘍免疫応答を誘導する間接的な効果が明らかになっています。樹状細胞、CD8陽性キラーT細胞、NK細胞などの多様な免疫細胞を活性化することから、がん患者さんの免疫を調節し、MHCクラスIの発現レベルにかかわらずどのような状態のがん細胞に対しても強力な抗腫瘍効果を発揮することが期待できます。

細胞加工の方法は樹状細胞ワクチンと同じ技術を用います。
患者さんの単球から誘導した樹状細胞に糖脂質であるα-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)を添加し、樹状細胞のCD1d上に抗原としてα-GalCerを提示した樹状細胞を点滴で静脈に投与します。体内の少量のNKT細胞がNKT-DCに提示されたα-GalCerを認識、増殖・活性化し、免疫調整による様々な働きによってがんを制御することを期待しています。

患者さん 採血→1.単球を分離し、培養する 2.単球が樹状細胞に分化する aガラクトシルセラミド(α-GalCer)3.樹状細胞にライセートを貪食させる→患者さんへ投与

NKT細胞療法の特徴

NKT細胞療法の特徴

NKT細胞療法の加工技術

当院は NKT 細胞を強力に増殖・活性化させる樹状細胞を開発し、樹状細胞ワクチンのものより CD1d※を多く出す樹状細胞を使用することで、より効率よく NKT 細胞を活性化出来ることが期待されます。

当院で使用する樹状細胞の使い分け

また、CD1dがより多く出ている樹状細胞にα-ガラクトシルセラミドを加えると、最適条件下で数百倍にもNKT細胞を増殖・活性することが実験で確認されています。このα-ガラクトシルセラミドを加えた樹状細胞を用いることで、患者さんの体内でもNKT細胞が増殖・活性化され、がん細胞を制御することが期待されます。

α-GalCer未添加・α-GalCer添加

(データ提供:メディネット社)

※CD1d分子は樹状細胞などの抗原提示細胞上にあり、NKT細胞に対して糖脂質を提示する役割を担っています。糖脂質抗原を提示することでCD1d拘束性のNKT細胞を活性化することが報告されています。