がん免疫細胞治療(樹状細胞ワクチン等の免疫細胞療法)の治療成績

はじめに

本結果は、がん患者に対して瀬田クリニックグループが提供する「免疫細胞治療」を施行した結果をRetrospectiveに解析し、まとめたものです。
治療、効果判定とも、一定のプロトコルに沿ってProspectiveに行われたものではないため、判定結果は十分に厳密で正確なものではないことをご理解いただいたうえで、ご覧いただければ幸いです。

対象

1999年4月~2009年3月までに、連携医療機関含む瀬田クリニックグループの医療機関において、免疫細胞治療を6回以上受けた患者さん5,460名のうち、原発臓器が肺、胃、大腸、肝、膵、乳、子宮、卵巣の4,049例を対象に、治療成績調査を行いました。
その結果から、下記「治療効果の評価方法」に示す判定基準を満たし、RECIST評価による解析が可能であった症例1,198例についてまとめました。

治療成績

  完全奏効 完全奏効  (CR; Complete Response) すべての標的病変の消失 部分奏効 部分奏効  (PR;Partial Response) ベースライン長径和と比較して標的病変の最長径の和が30%以上減少 長期安定 長期安定(Long SD) 「安定」と判定された状態が6カ月以上持続したもの 安定 安定 (SD;Stable Disease) 「部分奏効」とするには腫瘍の縮小が不十分で、かつ「進行」とするには治療開始以降の最小の最長径の和に比して腫瘍の増大が不十分 進行 進行 (PD;Progressive Disease) 治療開始以降に記録された最小の最長径の和と比較して標的病変の最長径の和が20%以上増加 奏功率 奏効率=(完全奏効+部分奏効)/全解析症例数 有効率 有効率=(完全奏効+部分奏効+長期安定)/全解析症例数 病勢コントロール率 病勢コントロール率=(完全奏効+部分奏効+長期安定+安定)/全解析症例数
総計 17 143 145 342 551 1,198 13.4% 25.5% 54.0%
肺癌 2 57 43 125 135 362 16.3% 28.2% 62.7%
胃癌 1 11 13 30 71 126 9.5% 19.8% 43.7%
大腸癌 2 18 28 48 93 189 10.6% 25.4% 50.8%
肝癌 3 11 13 33 56 116 12.1% 23.3% 51.7%
膵癌 1 14 20 37 62 134 11.2% 26.1% 53.7%
乳癌 2 11 11 30 56 110 11.8% 21.8% 49.1%
子宮癌 3 6 7 21 38 75 12.0% 21.3% 49.3%
卵巣癌 3 15 10 18 40 86 20.9% 32.6% 53.5%

奏功率=(CR+PR)/(全解析症例数),有効率=(CR+PR+Long SD)/(全解析症例数),病勢コントロール率=(CR+PR+Long SD+SD)/(全解析症例数)

【がん別治療効果割合】

  • [全体]PR 10%, Long SD 15%, SD 25%, PD 46%, CR 1%
  • [肺癌]PR 16%, Long SD 12%, SD 35%, PD 37%, CR 1%
  • [胃癌]PR 9%, Long SD 10%, SD 24%, PD 56%, CR 1%
  • [大腸癌]PR 10%, Long SD 15%, SD 25%, PD 49%, CR 1%
  • [肝癌]PR 9%, Long SD 11%, SD 28%, PD 48%, CR 1%
  • [膵癌]PR 10%, Long SD 15%, SD 28%, PD 46%, CR 1%
  • [乳癌]PR 10%, Long SD 10%, SD 27%, PD 51%, CR 2%
  • [子宮癌]PR 4%, Long SD 8%, SD 9%, PD 28%, CR 51%
  • [卵巣癌]PR 17%, Long SD 12%, SD 21%, PD 47%, CR 3%
  • ●RECIST評価が可能であった1,198例の中に含まれなかった症例については、術後補助療法として用いられた症例等の測定可能な病変を有さない症例も含まれます。
  • ●サブグループごとの詳細なデータにつきましても現在解析を進めており、結果がまとまりましたらこのホームページ上で紹介させていただきます。
  • ●治療成績の百分率は小数点以下第2位を四捨五入、がん別治療効果割合の百分率は小数点以下第1位を四捨五入して算出しています。四捨五入の関係で、百分率の合計が100%にならない場合があります。

<治療効果の評価方法>

本治療調査における治療効果の判定は、以下の「RECISTガイドライン」を参考にして行いました。

  • [CR(Complete Response)]すべての標的病変の消失
  • [PR(Partial Response)]ベースラインとなる標的病変の最長径の和から30%以上減少
  • [PD(Progressive Disease)]治療開始以降に記録された最小の最長径の和から20%以上増大
  • [SD(Stable Disease)]PRとするには腫瘍の縮小が不十分で、かつPDとするには治療開始以降の最小の最長径の和に比して腫瘍の増大が不十分

また、SDのうち以下の判定に該当する場合は、次の通り区分しました。

  • [Long SD]SDと判定された状態が6カ月以上持続したもの

なお、治療効果について判定可能か否かの判断をより正確に行うために、下記のような最低限の判定基準を設け、判定基準を満たさない場合はすべて判定不能としています。

下記の規準を満たす比較可能な画像が保管されている場合あるいは、画像の保管がなくとも治療前後での有効性判定に関する主治医からの報告書などの明確な記録が存在する場合

  1. 治療前の画像:治療開始日の60日前から2回目投与開始前までに撮影したもの
  2. 治療後の画像:5回目投与日以降で6回目の投与後30日以内に撮影したもの