臨床症例報告No.3 (PDF版はこちら) CD3-LAK療法期間中にレンチナン追加投与が奏効した卵巣がん頸部リンパ節転移の一例
- 種類:卵巣
Case
患者 67歳、女性
主訴 自覚症状なし、卵巣がん再発するに対する免疫療法希望
既往歴 63歳、帯状疱疹
生活歴 喫煙歴なし、飲酒歴なし
家族歴 父: 心筋梗塞、母: 大動脈瘤
Anamnesis
2001年に卵巣がん(stage Ⅲc serous papillary adenocarcinoma) と診断され、左卵巣切除後、化学療法を合計15クール受ける間に、根治的手術を受けるも2003年に再発が確認された。
このため免疫細胞療法を希望され、当クリニックを紹介受診した。(Figure 1)
Discussion
化学療法を行わず腫瘍マーカーは低下しており, 卵巣がんに対する免疫細胞療法の臨床効果・基礎研究の報告などからCD3-LAK療法が奏効したと考えられた。1)-4)
CD3-LAK開始当初, 腫瘍マーカーは減少したが、縦隔リンパ節の画像上の有意な縮小は認めらなかったことは, CD3-LAKはCA125発現のある微小病変に効果的であったと考えられた。また、 腫瘍マーカー上昇に伴い認められた頸部リンパ節転移巣のように、何らかの機序で抗腫瘍免疫を回避した、病勢のある新病変には効果的でない可能性があると考えられた。
CD3-LAKの効果が不十分な病巣でも, レンチナンなどのAPCを刺激するBRMは有効であると考えられた。5)6)
CD3-LAKの生体での残存期間は不明であるが、レンチナンとの免疫学的相乗効果の可能性もあると考えられた。
免疫細胞療法(CD3-LAK)のみによりマーカーは低下し、縦隔リンパ節転移巣は有意な増大はせず、病勢は抑制された。
その後、頸部リンパ節転移によりマーカー上昇するも、レンチナン追加により転移巣は退縮するとともに、マーカーは低下した。
Conclusion
12ヶ月以上にわたり、化学療法を使用せず、免疫療法のみで病勢コントロールが可能であった報告はなされていない。
今回のような局所再発転移例において、免疫細胞療法(CD3-LAK療法)は効果が期待もできるものと考えられた。また、 APCを刺激するようなBRMの使用の単独使用や併用は、より治療効果を上げる可能性があるものと考えられた。